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 昭和38年版 犯罪白書 第三編/第一章/二/7 

7 中流層出身犯罪少年の増加

 犯罪統計書によって,犯罪少年の家族の経済状態について検討すると,III-11表のように,最近六年間において,極貧層は昭和三四年を山として一応下火となっているのに対して,下流,中流,上流層は,ますます増加の傾向を明らかに示している。

III-11表 経済階層別少年刑法犯検挙人員(昭和31〜36年)

 とくに中流層の増加率は著しく,昭和三一年を一〇〇とした場合,昭和三六年には一九八と,実に二倍近くの量的増大をみせている。これに伴って,全少年刑法犯の中に占めるその構成比率も年々増加し,昭和三六年には四一・〇%という数を示すにいたっている。
 経済階層の区分は,専門的にはさまざまな立場と測定の方法が考えられており,厳密に考えた場合,ここに用いた統計資料源にももちろん異説はさしはさまれるであろうが,しかしおおまかな傾向としてみたとしても,いわゆる「中流層」家庭の出身少年が,かなり多く犯罪化しているものとみられる。