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6 在学少年犯罪の増加 昭和三六年における犯罪少年あよびその他の非行少年(いずれも特別法犯少年を除く)のなかで,在学生は五二四,六九五人であって,前年より三八,七七九人の増加となり,全体の中で占める比率も六七%を示すにいたった。これを学校種別でみると,III-10表にみられるように,中学生が最も多く四九%,高校生二九%,小学生二〇%,大学生二%の順となっている。さらに学生一,〇〇〇人あたりの比率でみると,総数では二三・二人であって,学校種別では,高校四九・一人,中学三七・二人,小学校九人の割合である。すなわち少年非行ないし犯罪のうち,七割近くが在学生によって行なわれており,とくに高校,中学生は,二〇-二五人についてひとりの割合で,なんらかの形で警察に逮捕または補導されたことになっているのである。このほか,道路交通法などの特別法に違反した在学少年も相当数あると考えられ,実際の非行少年は右の数字を上まわることが予想される。
III-10表 犯罪・非行別,学校別検挙人員および率(昭和32〜36年) このように学生,生徒,児童による犯罪ないし非行は,寒心すべき状態にたちいたっているが,これを最近五年間の傾向から検討してみると,III-10表によって明らかなように,中学生および高校生は総数の上からも,また在学生一,〇〇〇人あたりの比率からみても,昭和三二年以来増加の一途をたどっており,中学生では一〇万人強,一,〇〇〇人あたり一〇人強,高校生では五万人弱,一,〇〇〇人あたり一三人が,この五年間に増加したこととなっている。小学生および大学生は昭和三五年までは増勢にあったが,昭和三六年にはやや停滞している。ここに注意しなければならない現象は,高校在学生の犯罪ないし非行の増加ということである。中学在学生の犯罪ないし非行の増加は,前項に述べた年少犯罪少年の増加の傾向と軌を一にするもので,これと関連して理解されるところであるが,しかし高校在学生の年齢と対応する中間ないし年長少年の犯罪は,すでにみてきたように,必ずしも増加の傾向にはない。したがって,高校に進学した者の方が,そうでない者に比べて,犯罪ないし非行率が高くなっているということになる。このことは,高校進学者の量的な増加が逆に質の低下をもたらしたことを意味するのか,または,しばしば指摘されるように,上級学校への入学試験競争の激烈化に伴い,脱落者が多くなっていることを示しているのか,決定的な判断を下すことはできないが,いずれにせよ中学在学生の犯罪非行問題とならんで,高校在学生の犯罪ないしは非行化の問題が,さらに検討を要する段階にきているのである。 |