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昭和三六年中に検察官が控訴を申し立てた事件の被告人の総数は一,〇五七人であり,そのうち検察官のみが控訴したものは七六七人,検察官側と被告人側の双方から控訴したものが二九〇人である。
そして,検察官控訴の事件で,詔和三六年中に控訴審の判決が下された総数は九九五人であり,その判決の内容は,II-25表のとおりである。 II-25表 検察官控訴事件裁判結果(昭和36年) この表で最も多いのは,刑を重くしたもので三九・一%,次に多いのは控訴棄却で三八・九%である。検察官控訴の理由があったことが明らかなものは,刑を重くしたものと,あらたに有罪となったもので,その合計は総数の四九・〇%を占めている。そのほか,破棄差戻し,破棄移送となったものや,刑が同じもののうちにも,検察官控訴の理由が認められたものが,かなり含まれているであろうから,検察官の控訴は,そのうちの半数以上が控訴の理由があるものと認められたといえる。次に,第一審判決が無罪であったものに対し,検察官が控訴した数は一四六人で,その内訳は法令違反を控訴理由とするものが二六人,事実誤認を控訴理由とするものが一二〇人となっている。そして,その控訴判決の結果をみると,破棄自判してあらたに有罪としたもの九六人(六五・七%),破棄差戻し,破棄移送一五人(一〇・三%),控訴棄却三五人(二三・九%)である。あらたに有罪となったものを控訴理由別にみると,法令違反が一二人で四六・二%の成功率となり,事実誤認は八四人で七〇%の成功率を示している。もっとも,破棄差戻し,破棄移送となったものの中にも,控訴理由が認められたものが含まれるから,成功率はさらに高くなる訳である。 次に,検察官上告であるが,昭和三六年中に検察官が上告を申し立てた事件の被告人の総数は四七人で,そのうち検察官のみが上告申立をしたものが四〇人,双方から申し立てたものが七人である。 検察官が上告した事件で,昭和三六年中に上告審の判決のあったものの総数は一五人であり,その内容は,破棄差戻し,破棄移送が一三人,上告棄却が一人,その他が一人となっている。破棄差戻し,同移送一三人の上告理由をみると,憲法違反または憲法の解釈の誤りを理由とするもの一人,判例違反を理由とするもの七人,その他五人である。また上告棄却になったものの上告理由は,憲法違反または憲法の解釈の誤りを理由とするものであった。 |