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 平成10年版 犯罪白書 第3編/第7章/第2節/3 

3 少年司法の運用

 正式起訴犯罪における少年及び青年の処分人員を見ると,III-38表のとおりである。

III-38表 裁判所における正式起訴犯罪処分人員イギリス(1992年〜1996年)

 1996年においては,正式起訴され,有罪であるとの認定を受けた総人員28万8936人のうち,少年が4万3902人(15.2%),青年が5万514人(17.5%)を占めている。少年のほとんどは14歳以上18歳未満の少年によって占められ,その比率は1993年以降上昇傾向にある。
 少年及び青年の裁判所における処分内容を,年齢層別に見たものがIII-39表である。1996年においては,10歳以上14歳未満では,絶対的又は条件付き免除(52.7%)が最も多く,以下,保護観察命令・監督命令(24.0%),出頭所出頭命令(17.3%)の順となっている。14歳以上18歳未満では,絶対的又は条件付き免除(30.7%),保護観察命令・監督命令(23.5%),青少年犯罪者施設収容命令等の施設収容命令(13.4%)の順となっている。18歳以上21歳未満では,罰金(28.0%),施設収容命令(22.6%)が多くなっている。1992年から5年間の傾向を見ると,ほとんどすべての年齢層において,他の処分と比べ施設収容命令の比率が上昇している。

III-39表 裁判所における処分別正式起訴犯罪処分人員イギリス(1992年〜1996年)

 III-40表は,1996年の裁判所における少年の処分内容を罪種別に見たものである。10歳以上18歳未満の少年について,施設収容命令の占める比率を罪種別に見ると,殺人が94.7%,強盗が41.9%,窃盗が11,6%となっている。また,どの年齢層をとっても,殺人では施設収容命令となるものが多く,窃盗では絶対的又は条件付き免除となるものが最も多くなっている。また,強盗については,年齢層によって処分の傾向が異なり,10歳以上14歳未満では,監督命令(49.1%)が最も多く,14歳以上18歳未満では,施設収容命令(45.1%)が最も多くなっている。

III-40表 裁判所における主要罪種・処分別正式起訴犯罪処分人員イギリス(1996年)