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1 少年非行の動向 イギリスでは,刑事責任年齢の下限が10歳であり,10歳以上14歳未満の者を児童(child),14歳以上18歳未満の者を少年(young person),18歳以上21歳未満の者を青年(youngadult)と称しているが,ここでは,10歳以上18歳未満の者を一括して少年と称することにする。
イギリスにおける正式起訴犯罪(indictable offence)の検挙人員について,その総数,10歳以上18歳未満の少年検挙人員及び10歳以上21歳未満の青・少年検挙人員の1987年から1996年までの推移を見ると,III-123図のとおりである。 III-123図 正式起訴犯罪検挙人員の推移イギリス(1987年〜1996年) また,III-37表は,正式起訴犯罪及び特定5罪種について,1987年から1996年までの最近10年間における検挙人員総数,少年,青年及び成人別検挙人員並びに少年,青年及び成人の各人口比を示したものである。なお,イギリスでは,1991年の刑事裁判法により,少年の年齢の上限が17歳未満から18歳未満へと引き上げられたことに伴い,1993年以降の統計には,少年に17歳の者も含まれており,1992年から1993年にかけて少年の検挙人員が増加し,青年の検挙人員が減少しているのも,主にこのことによるものと考えられる。III-37表 正式起訴犯罪及び特定罪種別検挙人員・人口比イギリス(1987年〜1996年) 検挙人員総数は,1987年の約70万人から1989年の約67万人に減少したものの,その後増加に転じ,1992年には約78万人となっている。しかし,その後は再び減少傾向にあり,1996年には約72万人となっている。また,青年検挙人員は,1987年の約18万人から1989年の約16万人台半ばに減少したものの,1992年には約19万人に増加している。しかし,1993年以降は再び減少傾向にあり,1996年には約12万人となっている。これに対し,少年検挙人員は,1987年の約15万人から1989年の約11万人に減少したものの,1990年には約12万人にまで増加し,その後は1992年まで12万人前後で推移し,1993年に約15万人台半ぱとなり,それ以降おおむね16万人で推移している。なお,各年齢層ごとの人口比を見ると,少年人口比は,1989年の25963を除き,おおむね3000前後で推移している。青年人口比は,1987年の56879から1992年の70176まで上昇したが,その後低下して6,000台後半で推移している。成人人口比も,1987年の10292から1992年の12484まで上昇し,その後はおおむね1200前後で推移している。 また,特定5罪種について,少年,青年及び成人の各人口比を比較すると,いずれの罪種においても,青年が最も高い数値を示しており,殺人では,成人がこれに次いでいるのに対し,強盗,傷害,窃盗及び強姦では,少年がこれに次いでいる。さらに,窃盗及び傷害を除くいずれの犯罪についても成人の検挙人員は増加傾向を示しているものの,その人口比にはさほどの上昇傾向は認められないのに対し,少年及び青年については,殺人及び強盗において人口比が上昇する傾向が認められる。また,強姦の青年人口比は,1990年以降低下傾向にあり,窃盗の人口比も,1993年以降いずれの年齢層においても低下傾向にある。 |