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 平成10年版 犯罪白書 第3編/第7章/第1節/3 

3 少年司法の運用

 III-34表は,1986年から1995年までの10年間における,各州の少年裁判所で処理された非行少年に係る事件(以下,本節において「非行事件」という。)の総数,罪種別処理件数の推移を見たものである。

III-34表 少年裁判所における非行事件の罪種別処理件数

 非行事件総数は,1988年以降増加を続け,1995年は,1986年の約1.5倍となっている。罪種別構成比の推移を見ると,1986年には財産犯が60.2%を占め,人身犯が16.1%,公共犯が17.6%,薬物犯が6.1%であったが,その後財産犯がほぼ一貫して低下して,1995年には50.8%になったのに対し,人身犯及び薬物犯は上昇傾向にあり,特に人身犯は1995年には22.0%にまで上昇している。
 III-35表は,1991年から1995年までの5年間における,少年裁判所の非行事件処理状の推移を見たものである。

III-35表 少年裁判所における非行事件の処理状況アメリカ(1991年〜1995年)

 インテーク部において審判不開始となる事件の構成比は,低下傾向にあり,1991年には50.3%であったものが,1995年には45.3%に低下している。
 放棄・移送の構成比は,1991年から1995年まで,0.7%前後で推移している。
 処分の内容について見ると,審判不開始,審判開始のいずれにおいても,施設収容処分が,実数及び構成比共に増加・上昇している。
 III-36表は,1995年の少年裁判所における非行事件の罪種別処理状況を見たものである。放棄・移送の比率が最も高いのは人身犯であり,非行事実が認定された事件で施設収容処分の比率の最も高いのは公共犯である。

III-36表 少年裁判所における非行事件の罪種別処理状況アメリカ(1995年)

 III-122図は,1986年から1995年までの10年間における,放棄・移送事件の罪種別件数の推移を見たものである。1986年には,放棄・移送事件の54.8%を占めていた財産犯は,構成比で見ると低下傾向にあり,代わって人員犯の比率が上昇し,1995年には,放棄・移送事件の47.4%が人身犯となっている。

III-122図 罪種別放棄・移送件数の推移アメリカ〈1986年〜1995年)

 なお,少年が,事件の係属から処分決定までの間に,拘置施設等に収容された事件は,1995年の少年裁判所の非行事件総数の19%を占めており,これを罪種別に見ると,人身犯が26%,財産犯が41%,薬物犯が工2%,公共犯が20%となっている。