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 平成10年版 犯罪白書 第3編/第4章/第3節/4 

4 家庭

(1) 保護者

 最近10年間を累計して薬物事犯少年の実父母率を見ると,覚せい剤少年では,男子55.5%,女子52.1%,毒劇物少年では,男子55.6%,女子48.9%となっており,薬物事犯少年の保護者の生活程度は,男女とも中以上が8割を超えている。

(2) 養育態度

 III-26表は,最近10年間を累計して薬物事犯少年の親の養育態度を男女別に見たものである。

III-26表 薬物事犯少年の親の養育態度別構成比(昭和63年〜平成9年の累計)

 父親も母親も,男子,女子のいずれに対しても,放任が1位を占めているが,普通の比率が,男子に対しては,女子に対してよりも高くなっている。また,母親の方が,父親よりも普通の比率が高くなりている。

(3) 親への態度

 III-27表は,最近10年間を累計して薬物事犯少年の親への態度を男女別に見たものである。

III-27表 薬物事犯少年の親への態度別構成比(昭和63年〜平成9年の累計)

 父に対しては,男子が親和・信頼,両価,無関心,依存の順,女子が両価,親和・信頼,拒否,無関心の順となっており,この順位は,鑑別所収容少年(総数)と同様である。
 母に対しては,男子が親和・信頼,依存,両価,無関心の順となっており,男子の願位は鑑別所収容少年(男子総数)と同じである。一方,女子は親和・信頼,両価,依存,拒否の順となっており,鑑別所収容少年(女子総数)では両価が1位,親和・信頼が2位となっているのと比べると,母への親和・信頼度が比較的高いといえよう。
 また,薬物事犯少年では,男女とも母に対しての親和度が,父に対してよりも高くなっている。

(4) 現在の家族の問題

 III-28表は,最近10年間を累計して薬物事犯少年の家族の問題について,該当する者の比率を男女別に見たものである。

III-28表 薬物事犯少年の現在の家族の問題(昭和63年〜平成9年の累計)

 家族の問題として挙げられている項目では,鑑別所収容少年総数と同様に,男女共に指導力欠如が最も多く,次いで,交流不足,しつけ不足,離婚,本人を疎外の順となっている。女子は,ほとんどの項目で男子よりも高い比率を占めているが,指導力欠如及びしつけ不足では,男子の比率が高くなっている。