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3 非行歴 (1) 問題行動歴 最近10年間を累計して薬物事犯少年の問題行動歴を男女別に見ると,男女共に7割以上の者が経験しているものは,たばこ,酒,性経験,毒劇物である。さらに,覚せい剤少年では,男子が覚せい剤,無免許運転,女子が覚せい剤,家出,毒劇物少年では,男子が無免許運転,女子が家出を7割以上の者が経験している。また,覚せい剤少年において,大麻の使用経験者の占める比率(男子13.4%,女子11.6%)が,毒劇物少年(同1.6%,4.4%)よりも高くなっている。さらに,毒劇物少年では覚せい剤の使用経験者(同1.8%,6.2%)が少ないのに対し,覚せい剤少年では男女共に7割以上の者が毒劇物の使用経験者(同76.1%,74.8%)である。覚せい剤少年については,毒劇物少年よりも薬物とのかかわりが強いといえる。覚せい剤少年のうち,覚せい剤の使用経験者は,男子が96.2%,女子が97.7%を占めているが,これらの者について,薬物使用の経験のない者と,薬物使用経験者のうち常習となっている者の比率の推移を見たものがIII-76図である。
III-76図 覚せい剤少年の薬物使用状況別構成比の推移(昭和63年〜平成9年) 覚せい剤の使用状況を見ると,使用経験のない者は,男子が2%台から4%台,女子が4%未満の横ばい状態で推移しており,一方,常習者は,男子が昭和63年の59.2%から平成9年の69.7%へ,女子が同じく55.0%から70.0%へと,それぞれ上昇している。一方,毒劇物の使用状況については,使用経験のない者は,男子が昭和63年の11.3%から平成9年の38.0%へ,女子が同じく17.5%から39.8%へと,それぞれ上昇しているのに対し,常習者は,男子が昭和63年の62.7%から平成9年の46.1%へ,女子が同じく52.9%から38.1%へと,それぞれ低下しており,しかも,使用経験のない者と常習者との比率の差が小さくなっている。これは,毒劇物の使用経験なしに覚せい剤を使用する少年が増えていることを示すものといえる。 (2) 非行初発年齢 最近10年間を累計して薬物事犯少年の非行初発年齢を見ると,男女共に14歳(毒劇物少年男子30.7%,同女子32.5%,覚せい剤少年男子25.5%,同女子21.7%)が最も多く,次いで15歳となっている。
(3) 不良集団所属 最近10年間を累計して薬物事犯少年の不良集団所属について見ると,不良集団に所属していない者は,覚せい剤少年では男子が50.2%,女子が70.4%,毒劇物少年では男子が46.9%,女子が52.2%をそれぞれ占めており,いずれも女子において高い比率を示している。所属している者の所属不良集団については,地域不良集団(覚せい剤少年では男子24.0%,女子19.1%,毒劇物少年では男子34.9%,女子36.7%)が最も多くなっている。また,覚せい剤少年では暴力団(男子11.7%,女子5.2%)がこれに次いでいる。
(4) 在宅保護歴 III-24表は,薬物事犯少年の在宅保護歴を,昭和63年,平成4年,8年及び9年について男女別に見たものである。
III-24表 薬物事犯少年の在宅保護歴(昭和63年〜平成9年) 覚せい剤少年では,男女共に在宅保護歴のない者の比率がおおむね上昇しているが,毒劇物少年では顕著な変化はない。さらに,最近10年間を累計して薬物事犯少年の在宅保護歴を見ると,在宅保護歴のない者は,覚せい剤少年では,男子9.7%,女子24.3%となっており,一方,毒劇物少年では男子2.9%,女子7.1%と,男女共に覚せい剤少年よりも比率が低くなっている。特に,女子覚せい剤少年は,鑑別所収容少年(女子総数)と比べて,在宅保護歴のない者の比率が高く,警察による補導や児童相談所係属等の比率が相対的に低いことから,急速に非行化した者が多いと推測される。 (5) 保護施設歴 III-25表は,薬物事犯少年の保護施設歴を,昭和63年,平成4年,8年及び9年について男女別に見たものである。
III-25表 薬物事犯少年の保護施設歴(昭和63年〜平成9年) 覚せい剤少年では,男女共に保護施設歴のない者の比率は上昇しているが,毒劇物少年では年次による変動はほとんど見られない。最近10年間を累計して薬物事犯少年の保護施設歴を男女別に見ると,保護施設歴のない者は,覚せい剤少年で男子が80.7%,女子が86.8%,毒劇物少年で男子が84.5%,女子が90.5%となっている。 保護施設歴のある者のうち,該当者の比率が高いのは,覚せい剤少年では,男子が中等少年院(長期)7.8%,中等少年院(一般短期)5.0%,教護院4.4%,初等少年院(長期)3.6%,同じく女子が教護院4.6%,中等少年院(長期)4.1%,初等少年院(長期)が2.1%であり,その他は,それぞれ2%未満となっている。一方,毒劇物少年では,男子が中等少年院(長期)4.4%,教護院4.3%,中等少年院(一般短期)3.8%,初等少年院(長期)2.5%,女子が教護院4.2%であり,その他は,それぞれ2%未満となっている。 |