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 平成10年版 犯罪白書 第1編/第2章/第6節/2 

2 精神障害のある犯罪者の概況

(1) 精神障害者等の刑法犯罪名別検挙人員

 警察庁の統計によれば,平成9年における交通関係業過を除く刑法犯検挙人員31万3573人のうち,精神障害者は647人,精神障害の疑いのある者は1283人であり(以下,精神障害者と精神障害の疑いのある者をまとめて「精神障害者等」という。),交通関係業過を除く刑法犯検挙人員に占める精神障害者等の比率は,0.6%となっている。
 さらに,これを罪名別に見たのがI-42図である。人員では,窃盗・詐欺・横領(遺失物等横領を含む。〉が最も多く,精神障害者等の総数(1930人)の61.1%を占めているが,罪名別検挙人員総数中に占める精神障害者等の比率では,放火の14.4%,殺人の9.0%が自立って高くなっている。

I-42図 精神障害者又は精神障害の疑いのある者の刑法犯罪名別検挙人員(平成9 年)

(2) 心神喪失・心神耗弱者の刑事処分

 法務省刑事局の資料によれば,平成5年から9年までの5年間に,検察庁で不起訴処分に付された被疑者のうち,精神障害のため,心神喪失と認められた書及び心神耗弱と認められて起訴猶予処分に付された者並びに第一審裁判所で心神喪失を理由として無罪になった者及び心神耗弱を理由として刑を減軽された者は,I-11表のとおり,合計4028人である(以下,本節において,この4028人を「対象者」という。)。

I-11表 心神喪失・心神耗弱者の人員(平成5年〜9年)

 I-12表は,対象者について,罪名別及び精神障害名別に,不起訴処分理由及び裁判結果を見たものである。罪名別では,殺人が19.0%と最も多く,次いで傷害が16.3%となっている。さらに,不起訴処分に付された被疑者のうち心神喪失と認められた者及び第一審裁判所で心神喪失を理由として無罪となった者について,罪名別に見てみると,殺人が31.1%と最も多く,次いで放火が17.9%となっている。

I-12表 罪名・精神障害名別処分結果(平成5年〜9年の累計)