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 平成10年版 犯罪白書 第1編/第2章/第6節/1 

第6節 精神障害者の犯罪

1 概説

 刑事裁判においては,精神の障害によって,自己の行為の是非善悪を弁別する能力を欠くか,又ばその能力はあるがこれに従って行動する能力がない者は,心神喪失者として,刑罰を受けることがなく,また,このような弁別能力又は弁別に従って行動する能力の著しく低い者は,心神耗弱者として,刑が減軽される。
 なお,精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下,本節において「精神保健福祉法」という。)により,精神障害者又はその疑いのある者について,検察官・保護観察所の長・矯正施設の長は,都道府県知事に通報しなければならないとされ,通報を受けた都道府県知事は,その者が精神障害者であり,かつ,入院させなければ自傷他害のおそれがあると認めることにつき,2人以上の指定医の診察の結果が一致したときは,その者を国若しくは都道府県の設置した精神病院又は指定病院に入院(通例「措置入院」と呼んでいる。)させることができるとされている。