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 平成10年版 犯罪白書 第1編/第2章/第6節/3 

3 精神障害のある犯罪者の特色

(1) 罪名・精神障害名

 対象者の罪名と精神障害名との関係を見ると,罪名別では,殺人(総数の 19.0%)が最も多く,精神障害名別では,精神分裂病(総数の59.3%)が最も多い(巻末資料I-13参照)

(2) 犯行時の治療状況

 対象者中,本件犯行時において治療を受けていたかどうかが不明な者を除く3581人について,犯行時までの治療状況を見ると,犯行時において現に治療を受けていない者は約6割であり,そのうち約5割は犯行前に治療歴がある。

(3) 退院時の病状及び退院から犯行までの期間

 入院歴がある対象者のうち,本件犯行前に退院した1903人について,直近退院時における病状及び直近退院時から本件犯行時までの期間を見ると,直近退院時に未治癒のまま退院した者は344人(18.1%)であり,病院から回答が得られないなどの理由のため,直近退院時の病状が不明な者は956人(50.2%)である。退院後1年以内に犯行に及んだ者は,840人(44.1%)であり,そのうち,措置入院となっていた者は161人である。

(4) 犯行後の精神保健福祉法による取扱状況

 対象者の犯行後の治療状況を見ると,約半数の者が措置入院となっており,その他の入院を含めると,入院した者は約8割を占めている(巻末資料I-14表参照)