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 平成10年版 犯罪白書 第1編/第2章/第5節/2 

2 収賄事犯

 公務員犯罪の中でも,収賄事犯は,公務の公正に対する一般国民の信頼を損ない,遵法意識の低下を招くなど,その及ぼす影響は極めて大きい。この種の事件は,収賄者及び贈賄者の双方が罰せられることから,当事者だけで隠密裏に行われることが多い上,特定の被害者が存在しないことなども加わって,極めて潜在性が強い。したがって,事件の傾向を単年度の統計で推し量ることは適当でないので,最近10年間に収賄罪で警察に検挙された公務員(法令により公務に従事するとみなされる公務員を含む。)全員につき,これを昭和63年から平成4年までの5年間(以下,本節において「前期」という。)と,5年から9年までの5年間(以下,本節において「後期」という。)に分け,公務員の種類別に両者を比較して示したものが,I-41図である。

I-41図 収賄公務員の種類馴検挙人員(昭和63年〜平成4年・5年〜9年)

 検挙人員総数は,前期が449人,後期が70人減の379人となっており,いずれの公務員の種類においても検挙人員は減少傾向を示している。種類別に見ると,前期・後期を通じて,地方公務員が最も多く,以下,地方公共団体の各種議員(首長を含む。以下同じ。),国家公務員の順となっている。平成9年は,検挙人員総数が100人で,その内訳は,地方公共団体の各種議員が46人(前年より76.9%増),地方公務員が45人(同28.6%増),国家公務員が5人(同66.7%増),その他が4人(同33.3%減)となっている。
 I-10表は,平成4年から8年までの5年間における収賄事件の第一審裁判所の科刑状況を見たものである。8年中に懲役刑に処された者のうち,懲役三年以上の刑に処されたものの比率は91.5%(65人)である。8年の執行猶予率は94.4%で,前年より3.2ポイント上昇している。

I-10表 収賄事件の第一審科刑状況(平成4年〜8年)

 なお,平成8年に収賄で有期懲役刑の実刑を言い渡された人員は4人で,その内訳は,刑期が2年以上3年未満の者が3人,1年以上2年未満の者が1人となっている(司法統計年報による。)。