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 平成 9年版 犯罪白書 第1編/第2章/第1節/3 

3 罰金額の引上げ

(1) 昭和23年の罰金等臨時措置法
 終戦当時の刑法その他の刑罰法規の規定する罰金額では,戦後のインフレーションが急激に準むなどの経済事情の変動の下,罰金刑の実質的効果を保ち得なくなったことから,昭和23年12月に罰金等臨時措置法(昭和23年法律第251号)が公布(24年2月施行)され,刑法の罪について定められた罰金の多額をそれぞれ50倍に引き上げるなどの措置がなされた。
(2) 昭和47年の罰金等臨時措置法の一部改正法
 昭和47年6月の罰金等臨時措置法の一部改正(同年7月施行)においては,刑法の罪について定められた罰金の多額を従来より更に4倍引き上げて刑法に定める金額の200倍とするなどの措置がなされた。
(3) 平成3年の刑法等の一部改正法
 平成3年5月には,前記のとおり,罰金の額等の引上げのための刑法等の一部を改正する法律が施行されている。
 この際の刑法の一部改正によって,罰金の寡額がそれまでの4,000円から1万円に,科料の額がそれまでの20円以上4,000円未満から1,OOO円以上1万円未満にそれぞれ引き上げられた上,刑法の罪について定める罰金の多額は原則的にそれまでの2.5倍(刑法に記載された金額を基準とすると500倍)に改定され,多額が低い一部の罪に関しては多額の最下限を10万円まで引き上げるなどの措置が採られた。暴力行為等処罰ニ関スル法律及び経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律(昭和19年法律第4号)についても同様の改正がなされた。また,刑法に定める罰金の執行猶予の限度額が20万円から50万円に引き上げられたほか,刑事訴訟法についても関連の改正(第2編第2章第1節3参照)がなされている。
 罰金等臨時措置法の一部改正によって,上記の刑法ほか二法以外の法律に定める刑罰法規全般についても,罰金の多額が2万円に満たないものについては一律にこれを2万円に,罰金の寡額が1万円に満たないものについては一律にこれを1万円に引き上げられたほか,命令への罰金の委任の最高限度についても8,000円から2万円に引き上げられている。