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 平成 8年版 犯罪白書 第1編/第2章/第4節/1 

第4節 暴力団犯罪

1 概  説

 警察庁の統計によると,平成7年12月31日現在の暴力団勢力(暴力団の構成員及び準構成員)は約7万9,300人であり,前年と比べ約1,700人(2.1%)減少した。このうち暴力団構成員は約4万6,600人で,前年と比べ約1,400人(2.9%)減少した。また,山口組,稲川会及び住吉会の3団体に所属する暴力団勢力は約5万2,200人で,このうち構成員は約3万1,100人である。
 平成7年に解散又は壊滅した組織は234組織(構成員数約1,400人)であり,このうち,山口組,稲川会及び住吉会の3団体の傘下組織の解散・壊滅は128組織(構成員数約800人)で,解散・壊滅全体の54.7%を占めている。
 平成4年3月1日の「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」(以下,本節において「暴力団対策法」という。)施行後,同年には山口組,稲川会及び住吉会を含む15団体が同法による指定暴力団に指定され,引き続き5年には7団体,6年には3団体が指定された。1団体は山口組の傘下組織となり指定が取り消され,平成7年12月31日現在24団体が指定されている。
 指定を受けた団体の構成員である暴力団員は,指定の結果として,法が定める一定の反社会的な行為を行ってはならない義務を負うこととなる。
 警察庁刑事局の資料によると,平成4年の暴力団対策法施行以降発出された中止命令(暴力的要求行為を行った指定暴力団員に対し公安委員会が当該行為の中止を命ずること。)の累計は3,229件となっている。このうち,7年の中止命令は1,321件である。
 I-15表は,最近5年間における暴力団相互の対立抗争事件を見たものである。平成7年の対立抗争事件数は4件,発生回数は28回で,そのすべてに銃器が使用されている。暴力団によるとみられる銃器発砲事件の発生回数は,前年の210回と比べ大幅に減少し,7年には128回と過去10年間で最も少なくなっている。これらの銃器発砲に伴って21人が死亡,21人が負傷している。暴力団勢力からのけん銃押収丁数は3年(954丁)以降増加傾向にあり,7年は1,396丁である(I-29図参照)。

I-15表 暴力団対立抗争事件の発生状況