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5 韓 国 1982年から1991年までの間の韓国における交通事故の発生件数,死傷者数及び事故率は,IV-28表のとおりである。
IV-28表 交通事故の発生件数,死傷者数及び事故率 韓国においては,道路交通における違反行為は,道路交通法により規制され,違反行為に対しては刑罰を科することとされているが,そのうち同法に規定する法定刑が5万ウォン以下の罰金又は拘留若しくは科料に当たる比較的軽微な事犯については,反則行為とされ,反則者に対しては,警察署長が,その姓名等が確実でない場合,逃亡するおそれがある場合あるいは反則金納付通告書の受領を拒否した場合を除き,反則金納付通告書により反則金納付の通告をし,反則金が納付されたときは,その反則行為につき,再び処罰されることはないものとされている。また,警察署長は,上記のような反則金納付の通告をなし得ない場合や反則者が納付期限内に反則金を納付しなかった場合は,巡回判事の即決審判を受けさせなければならず,巡回判事による即決審判は,正式裁判請求期間の経過,正式裁判請求権の放棄,正式裁判請求の取下げ又は棄却により,正式裁判と同一の効力を有することになる。なお,警察署長は,法定刑が10万ウォン以下の罰金又は拘留若しくは科料に当たる事件についても,巡回判事に即決審判を請求することができるものとされている。 他方,交通事故に関しては,刑法に規定する業務上(重)過失致死傷罪が適用され,5年以下の禁錮又は5万ウォン以下の罰金(罰金等臨時措置法により,その上限が200万ウォンに引き上げられている。)に処することとされていたが,近年の交通事故の増加等を背景として,1981年に交通事故処理特例法が制定された。 同法は,車の運転者が,交通事故により業務上(重)過失致死傷罪を犯したときは,5年以下の禁錮又は500万ウォン以下の罰金に処する旨を規定するとともに,車の交通による業務上(重)過失傷害罪及び道路交通法に規定する運転者による業務上(重)過失建造物等損壊罪を犯した運転者に対しては,原則として,被害者の明示した意思に反して公訴を提起することができず,また,交通事故を起こした車が保険又は共済に加入している場合は,被害者の意思にかかわらず,原則として,公訴を提起することができないものとしている。そして,その例外として,業務上(重)過失傷害罪につき,ひき逃げ,信号無視,中央線はみ出し,著しい速度超過,追越し禁止違反,踏切通過方法違反,横断歩道上の事故,無免許運転,酒酔い運転等の一定の行為を伴う場合,あるいは保険契約や共済契約が無効とされ,若しくは解約され,又は契約上の免責規定等により保険・共済事業者の保険金・共済金の支払義務がなくなる場合は,公訴を提起することができるものとしている。 なお,その後1993年に,交通事故処理特例法の改正が行われたが,これは,前記例外事由に,歩道上での事故や乗客等の転落防止義務違反等を追加することなどを内容としたものである。 1983年から1991年までの間の検察庁における道路交通法違反及び交通事故処理特例法違反の処理状況は,IV-29表のとおりである。同法の施行により,近年,道路交通法違反については約4割ないし約6割が,また,交通事故処理特例法違反については約7割が,公訴権なしを理由として,検察官により不起訴処分に付されている。 IV-29表 検察庁の処理人員 また,1983年から1991年までの間の第一審裁判所における道路交通法違反及び交通事故処理特例法違反の処理状況は,IV-30表のとおりである。IV-30表 第一審公判事件終局処理人員 |