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 平成 5年版 犯罪白書 第4編/第7章/第3節/3 

3 刑罰に対する罪意識

(1) 本件に対する罪意識
 IV-56図[1]は,「今回,あなたが犯した事件は,どの程度悪いと思いますか」という質問に対する回答を比率で表したものである。
ア 業過群
 両群共に,「非常に悪い」と思う者が最も多く,実刑群では83.8%,執行猶予群では79.5%となっている。これに「悪い」と思う者を加えると,実刑群では99.0%の者が,また,執行猶予群では97.7%の者が,それぞれ本件を「悪いことである」と受け止めている。
イ 道交群
 両群共に,業過群の場合と同様に,「非常に悪い」と思う者が多く,実刑群では71.1%,執行猶予群では74.3%となっている。これに「悪い」と思う者を加えると,実刑群では99.0%,執行猶予群では98.6%となり,いずれの群でも,本件を「悪いことである」と受け止めている者がほとんどである。

IV-56図 刑罰に対する意識

(2) 本件判決に対する評価
 IV-56図[2]は,「今回,あなたが犯した事件に対する判決は,あなた自身が初めに考えていたことと比べてみて,どのように思いますか」という質問に対する回答を比率で表したものである。
ア 業過群
 実刑群と執行猶予群の特徴をまとめると,次のとおりである。
 実 刑 群   「大体,予想どおり」と思う人が最も多い
 執行猶予群   「少し重かった」と思う人が最も多い
 本件判決が「大体,予想どおり」と思う者は,実刑群では36.4%,執行猶予群では28.3%であり,一方,「少し重かった」と思う者は,実刑群では30.3%,執行猶予群では32.6%となっている。わずかな差ではあるが,実刑群の方が,科された刑罰をより厳粛に受け止め,実刑をやむを得ないことと評価している。
イ 道交群
 両群の特徴を見ると,両群共に,「大体,予想どおり」と思う者が最も多く,実刑群では39.6%,執行猶予群では34.8%となっている。実刑群では「少し重かった」と思う者が32.5%と比較的多く,この群の特徴を示している。
(3) 刑事処分・行政処分の受け止め方
 IV-57図は,執行猶予群を対象とし,「刑事処分(実刑,執行猶予)と行政処分(運転免許の取消し処分)とを比べて,どう思いますか」という質問に対する回答を比率で表したものである。
ア 実刑と免許取消し処分の比較
 「実刑の方が重い」と回答した者が最も多く,業過群では69.6%,道交群では60.9%となっている。
 なお,道交群では「一概に言えない」と回答した者が20.3%を占め,この群の特徴を示している。

IV-57図 刑事処分・行政処分の受け止め方

イ 執行猶予と免許取消し処分の比較
 「執行猶予の方が重い」と回答した者は,業過群では37.0%,道交群では52.2%である。特に,業過群では,「一概に言えない」が28.3%,「条件付き」が13.0%を占め,一概に「執行猶予の方が重い」と言えない結果を示している。