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 平成 5年版 犯罪白書 第4編/第7章/第3節/2 

2 交通規範に対する意識

 IV-55図は,自動車の運転に関する意見を尋ね,「そう思う」と「まあそう思う」と回答した者を肯定的意見をもつ者としてまとめ,交通規範に対する意識を見たものである。

IV-55図 交通規範に対する意識

(1) 業過群
 実刑群と執行猶予群は,よく似た傾向を示しているが,強いて差異を指摘すると,実刑群では「どんなに注意をしていても,交通事故に巻き込まれることはある」に対して,一方,執行猶予群では「交通事故が起こるのは,相手にも落ち度があるからだ」に対して,それぞれ肯定的意見をもつ者が相対的に多くなっている。
 なお,前記の「どんなに注意をしていても」に対して肯定的意見をもつ者は,執行猶予群でも9割近くを占めているが,両群共に,「交通取締りで捕まるのは,運が悪いからだ」に対して肯定的意見をもつ者は,20%台にとどまっている。すなわち,必ずしも「運が悪い」と片付けず,自ら責任を取ろうとする意識がうかがわれる。
(2) 道交群
 業過群の場合と同様に,実刑群と執行猶予群の間に顕著な差異は見られないが,実刑群では「交通違反をしても,必ずしも交通事故につながるわけではない」に対して,一方,執行猶予群では前記の「交通事故が起こるのは」に対して,それぞれ肯定的意見をもつ者が相対的に多くなっている。
 ここでも,前記の「どんなに注意をしていても」に対して肯定的意見をもつ者が両群共に,非常に多くなっているが,道交群全体の特徴として,もう一つ,どの質問に対しても,肯定的意見をもつ者の占める比率が高くなっていることを指摘することができる。すなわち,道交群は,業過群に比べ,全般尚に交通規範に対して意識が低い。