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2 収賄事犯 公務員犯罪の中でも,収賄事犯は,公務の公正に対する一般国民の信頼を損ない,遵法意識の低下を招くなど,その及ぼす影響は計り知れない。この種の事件は,収賄者,贈賄者の双方が罰せられることから,当事者だけで隠密裏に行われることが多い上,特定の被害者が存在しないことなども加わって,極めて潜在性が強い。したがって,事件の傾向を単年度の統計で推し量ることは適当でないので,最近10年間に収賄罪で検挙された公務員(みなす公務員を含む。)全員につき,これを昭和58年から62年までの5年間(以下,本節において「前期」という。)と,63年から平成4年までの5年間(以下,本節において「後期」という。)に分け,公務員の種類別に両者を比較して示したものが,III-35図である。検挙人員総数は,前期が921人,後期が472人減の449人となっており,いずれの公務員の種類においても検挙人員は減少傾向を示している。種類別に見ると,前期後期を通じて,地方公務員が最も多く,以下,地方公共団体の各種議員,国家公務員の順となっている。
III-35図 収賄公務員の種類別検挙人員 (昭和58年〜62年,63年〜平成4年) 平成4年中に警察が検挙した事件の賄賂総額は3億5,485万円(前年より1億7,325万円,95.4%増)に上っており,収賄者1人当たりの賄賂額は251万円(前年より47万円,23.0%増)となっている(警察庁刑事局の資料による。)。III-21表は,昭和62年から平成3年までの5年間における収賄事件の第一審裁判所の科刑状況を見たものである。3年中に懲役刑に処された者は前年より25人多い75人で,そのうち懲役1年以上の刑に処された者は50人(66.7%)である。また,3年の執行猶予率は93.3%で,前年とほぼ変わらない。なお,3年に収賄で有期懲役刑の実刑を言い渡された人員は5人で,その内訳は,刑期が3年を超え5年以下の者が1人,刑期が3年の者が2人,刑期が2年以上3年未満の者が2人となっている(司法統計年報による。)。 III-21表 収賄事件の第一審科刑状況 (昭和62年〜平成3年) |