このように外国人が不正な手段を用いてでも来日し,不法に就労しようとするのは,いわゆるブローカーあるいは一部の雇用主等,就労資格のない外国人を来日させる推進力又は吸引力として作用する者の存在が大きな要因となっているからである。そこで,入管法の一部改正により,同法73条の2に,不法就労助長罪が新設され,平成2年6月1日から施行された。同条は,
[1] 事業活動に関し,外国人に不法就労活動をさせること
[2] 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置くこと
[3] 業として,外国人に不法就労活動をさせる行為及び[2]の行為に関しあっせんすること
を禁止し,これに違反した者を最高3年の懲役及び200万円以下の罰金に処することとしている。
法務省刑事局の資料によれば,平成4年中に,日本人185人,外国人48人の合計233人が同条によって起訴されるとともに,62法人が同条の両罰規定によって起訴されている。