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 平成 5年版 犯罪白書 第1編/第1章/第2節/2 

2 主要特別法犯の動向

 (1)交通関係
 I-14図は,最近10年間の道路交通法違反の告知件数及び送致件数の推移を見たものである。
 道路交通法は,交通反則通告制度を規定している。これは,比較的軽微な同法違反行為を反則行為とし,反則行為をした反則者に対し,警察官が違反を告知し,警察本部長が反則金の納付を通告した場合において,反則者が一定の期日までに反則金を納付したときは,同人は,その反則行為に係る事件について,公訴を提起されず,又は家庭裁判所の審判に付されない,との制度である。
 保管場所法違反の検察庁新規受理人員は,昭和60年のピークの後,63年まで減少していたが,平成元年以降増加している。

I-14図 道路交通法違反の告知・送致件数の推移(昭和58年〜平成4年)

 (2)薬物関係
 I-15図及びI-16図は,最近10年間における,覚せい剤取締法違反,麻薬取締法違反,あへん法違反,大麻取締法違反及び毒劇法違反の検察庁新規受理人員の推移を見たものである。覚せい剤取締法違反は,近年減少傾向を示していたが,平成3年にやや増加し,4年は3年とほぼ同数であった。毒劇法違反は,昭和63年から平成3年までの間,覚せい剤取締法違反の受理人員を超えていたが,4年は大きく減少した。大麻取締法違反及び麻薬取締法違反の増加も,憂慮されるところである。あへん法違反は,昭和63年以降ほぼ横ばい状況にある。

I-15図 覚せい剤取締法違反及び毒劇法違反の検察庁新規受理人員の推移(昭和58年〜平成4年)

I-16図 大麻取締法違反・麻薬取締法違反及びあへん法違反の検察庁新規受理人員の推移(昭和58年〜平成4年)

I-17図 風俗関係特別法犯の検察庁新規受理人員の推移(昭和58年〜平成4年)

 (3)風俗関係
 I-17図は,最近10年間における風俗関係特別法犯の検察庁新規受理人員の推移を見たものである。風営適正化法違反は,引き続き減少しており,平成4年には,売春防止法違反の受理人員を下回った。
 (4)保安関係
 I-18図は,最近10年間における保安関係特別法犯の検察庁新規受理人員の推移を見たものである。保安関係特別法犯は,ここ数年,全体的に減少傾向にあったが,平成4年は,銃刀法違反,軽犯罪法違反,火薬類取締法違反,酩酊防止法違反共に前年を上回った。

I-18図 保安関係特別法犯の検察庁新規受理人員の推移(昭和58年〜平成4年)

 (5)外事関係
 I-19図は,最近10年間における外登法違反及び入管法違反の検察庁新規受理人員の推移を見たものである。入管法違反が急激に増加している半面,外登法違反は著しく減少している。

I-19図 外事関係特別法犯の検察庁新規受理人員の推移(昭和58年〜平成4年)

 (6)労働者保護関係
 I-20図は,最近10年間における労働者保護関係特別法犯の検察庁新規受理人員の推移を見たものである。労働基準法違反及び船員法違反は減少傾向にあり,労働安全衛生法違反も前年より減少した。労働者派遣法違反は,同法が施行された昭和61年以来,増加傾向にある。

I-20図 労働者保護関係特別法犯の検察庁新規受理人員の推移(昭和58年〜平成4年)

 (7)公害関係
 I-21図は,最近10年間における公害関係特別法犯の検察庁新規受理人員の推移を見たものである。公害関係特別法犯は,廃棄物処理法違反,海洋汚染防止法違反,水質汚濁防止法違反共に,減少傾向にある。

I-21図 公害関係特別法犯の検察庁新規受理人員の推移(昭和58年〜平成4年)

 (8)税法関係
 I-22図は,最近10年間における関税法,法人税法・所得税法及び相続税法各違反の検察庁新規受理人員の推移を見たものである。

I-22図 関税法・法人税法・所得税法及び相続税法各違反の検察庁新規受理人員の推移(昭和58年〜平成4年)

I-23図 所得税法・相続税法違反及び法人税法違反の1件当たり平均脱税額の推移

 I-23図は,各会計年度に国税庁から検察庁に告発された所得税法・相続税法違反事件及び法人税法違反事件について,1件当たりの平均脱税額の推移を見たものである。
 (9)選挙関係
 I-24図は,最近10年間における公職選挙法違反の検察庁新規受理人員の推移を見たものである。この種事件は,各年における選挙の有無・回数等によって受理人員に大きな変動があり,それが特徴となっている。平成4年は,前年に比べ大きく減少した。

I-24図 公職選挙法違反の検察庁新規受理人員の推移(昭和58年〜平成4年)

 (10)条例関係
 検察統計年報によれば,平成4年における条例違反の検察庁新規受理人員は,3,215人で,その内訳は,青少年保護育成条例違反が1,654人,公安条例違反が18人,その他が1,543人となっている。