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 昭和37年版 犯罪白書 第三編/第三章/二/2 

2 刑務作業

 少年刑務所における刑務作業の運営には,出所後の更生復帰に役立つ職業能力をできるだけ身につけさせること,および強制作業という観念を払拭して作業を通して紀律遵守,意志の強化,共同責任の体験,勤労精神の涵養などの矯正訓練を行なうことにとくに力をいれている。これは施設の性格上,また収容者の特性上当然のことであり,このため,一方において低格作業(紙細工,藁工など)をできるだけさけ,木工,印刷工,革工,金属工などの有用作業の充実をはかるとともに,他方職業訓練生を養成し,本人の職業能力を伸展せしめることや職業上の免許・資格を獲得させるように努力している。
 法務省矯正局の調査によれば,川越・松本・奈良・岩国および佐賀の各少年刑務所の昭和三六年末収容人員計二,八〇七人のうち,病気休養中,分類考査中などで不就業の者を除き,二,五〇八人が刑務作業に就いている。その業種別人員は,木工二五〇人,印刷工一三八人,洋裁工一六三人,金属工三八一人,革工一一八人,紡織工八一人,竹工七三人,経理営繕六二三人およびその他の業種六八一人である。なお,これら五施設の昭和三五年(会計年度)中の作業調定額は合計六五,六五〇千円にのぼり,作業支出額の約三〇四%という成績である。これは,同年における全国刑務所の調定総額が支出総額に対し約二一四%という比率であるのにくらべて,調定額からみた少年刑務所の作業能率も一般刑務所に劣っているものではない。