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 昭和37年版 犯罪白書 第三編/第二章/二/3 

3 生活指導

 少年院における生活指導は,在院者に対して健全な社会人として必要な考え方,行動様式,態度を身につけさせることを目標としており,職業補導とならんで少年院における矯正教育の中枢となっている。
 生活指導としては,社会教育講話,余暇活動,篤志面接,集団心理療法,グループ・カウンセリング等が行なわれている。

(一) 社会教育講話

 毎朝行なわれる朝礼時における職員の訓話,毎夜行なわれる職員をリーダーとする教養集会,休日に行なわれる部外の学識経験者による講話等によって,日常生活の基本的行動様式および対人関係の調整に必要な社会的訓練に関する知識,理解を与えている。

(二) 余暇活動

 収容少年の社会性を自ら助長させるために余暇活動を利用しているが,その主なものは,クラブ活動である。
 昭和三四年および昭和三五年におけるクラブ活動の実施状況を示すと,III-21表のとおりである。これによると,スポーツ関係・文芸・美術・音楽から点訳に至るまで多種類にわたりクラブ活動が行なわれており,その数も昭和三四年の三六〇から昭和三五年の四九九に増加しており,かなり活発に実施されていることがわかる。

III-21表 クラブ活動実施施設数(昭和34,35年)

(三) 篤志面接

 地域社会の学識経験者を篤志面接委員に委嘱して,少年の身上相談にあたらせている。昭和三五年末現在で六四三人(うち婦人二一五人)の篤志家からなる面接委員が,在院者の申出等により在院者の助言・相談にあたっている。面接の内容は,III-22表に示すとおり,職業相談が最も多く一,〇六四回,精神的煩悶が一,〇三六回,家庭相談が九二九回となっている。

III-22表 篤志面接の内容別実施回数(昭和35年)

(四) 集団心理療法およびグループ・カウンセリング

 ここ数年以来,いくつかの少年院において,矯正技術としての心理療法が導入されている。それらはまだ試行的な段階にあるから,矯正技術としての効果を論ずることはできないが,最近までに行なわれた集団心理療法をみると,III-23表のとおりである。これによると,なかには集団心理療法,グループ・カウンセリングの前段階的なものが少なくないが,いくつかの注目すべき成果をあげつつあることがわかる。たとえば関東医療少年院においては全少年に対し,ガィデッド・グループ・インタラクション法を用い,話合いによる問題解決の気運を高めており,また,和泉少年院においては,ロジャースの非指示的カウンセリング法により少年の行動の活発化をはかっている。

III-23表 集団心理療法およびグループ・カウンセリング実施人員等(昭和34年6月現在)