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 昭和37年版 犯罪白書 第二編/第一章/一/6 

6 新受刑者の罪名別

 新受刑者がどのような罪名であるかをみると,昭和三五年においては,まず刑法犯が九四・五%の三八,七三九人でそのほとんどを占め,特別法犯は五・五%の二,二六九人にすぎない。次に刑法犯の内訳をみると,窃盗が新受刑者総数の五三・九%を占め,これに次ぐものは,詐欺の九・八%,傷害の七・二%,恐喝の五・五%,強盗の四・一%である。特別法犯では,麻薬取締法違反が二・二%で最も高く,これに次ぐものは,売春防止法の〇・七%,暴力行為等処罰法違反の〇・六%であるから,その比率は刑法犯に比してきわめて低い。
 昭和三一年以降の新受刑者の罪名別比率の推移をみると,II-6表に示すように,窃盗は昭和三一年の五八・六%から昭和三五年の五三・九%まで逐年減少をみせており,また横領もわずかではあるが減少傾向をみせている。これに反して猥せつ,姦淫は昭和三一年の一・〇%から昭和三五年の二・九%と増加を示し,また,殺人,恐喝もわずかながら増加傾向を示している。特別法犯では麻薬取締法違反が昭和三一年の一・二%から昭和三五年の二・二%へと増加を示しているのに反し,覚せい剤取締法違反が昭和三一年の二・九%から漸次減少を示している。麻薬取締法違反の増加は,麻薬犯罪の増加を意味し,覚せい剤取締法違反の減少は,覚せい剤の取締がある程度成功をおさめたことを物語るものといえる。

II-6表 新受刑者の罪名別人員の比率(昭和31〜35年)