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 昭和37年版 犯罪白書 第一編/第三章/二/3 

3 麻薬犯罪の処理状況

 検察庁で麻薬犯罪を処理した状況を昭和三一年以降昭和三五年までの五年間についてみると,I-42表のとおりである。これによると,起訴率は,昭和三三年の七七・五%が最も高く,昭和三四年,三五年は七〇%でやや下がっている。しかし,麻薬犯罪のうち最も悪質である麻薬取締法違反についてみると,I-43表のとおり,その起訴率はほぼ上昇を示し,昭和三五年には八二・二%という高率を示している。しかも,麻薬犯罪とくに麻薬取締法違反は,起訴のうちで公判請求の占める比率が著しく高いのが特徴である。昭和三五年においては,起訴したもののうち九七・三%を占める一,八七二人が公判請求をされている。しかも,この公判請求の占める比率は昭和三一年以降上昇傾向を示しているのである。公判請求をすることは,懲役刑を求めることを意味するから,この点からも処分のきびしさを知ることができよう。なお,昭和三五年における刑法犯の起訴率は,検察統計年報によれば,五六・二%であり,殺人は六六・九%,放火は六五・一%,強盗は八一・三%であることを考えあわせると,麻薬取締法違反のそれの八二・二%がいかに高率であるかを知ることができる。

I-42表 麻薬関係法令違反の処理別人員等(昭和31〜35年)

I-43表 麻薬取締法違反の処理別人員等(昭和31〜35年)