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 昭和36年版 犯罪白書 第二編/第五章/三/2 

2 緊急保護の実施状況

 緊急保護を受けたい旨の申出の数は年間に三万あまりで,これに該当する右に述べた五種類の人員の年間総数と比較すると,一〇〇人につき約八・五回であり,これだけの数字をみるとそれ程多くないようにも思えるが,五種類に区分して対照すると刑務所釈放者と婦人補導院退院者は保護を申し出る傾向がいちじるしく大きく,その反面,他はいちじるしく小さいことがわかる(VI-61表参照)。

VI-61表 更生緊急保護の申出率(昭和34年)

 緊急保護の措置の種類は,応急救護の措置と同じで,食事付宿泊供与と宿泊供与は,これに伴う補導とともに,更生保護会または地方公共団体に委託して行ない,食事給与,衣料給与,医療援助,旅費給与,割引証交付は,直接保護観察所で行なう。委託保護の委託期間は,予算上その他の理由から制限がもうけられていて,食事付宿泊の供与は同一人について通じて三〇日以内,宿泊の供与は通じて九〇日以内という規定になっている。
 緊急保護の実施状況は,昭和三四年についてみるとVI-62表のようになっている。委託保護の委託先は,ほとんど更生保護会だけである。

VI-62表 緊急保護の措置別保護人員と件数(昭和34年)