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 昭和36年版 犯罪白書 第二編/第三章/七 

七 矯正施設における諸問題

 矯正施設の現状は,戦後,混乱した行刑の秩序を回復するということ,戦後公布された少年法等の法律を実行するために施設を整備するということ―この二つの点について応急の処置を終わり,ようやく,個々の矯正処遇の内容に施策を練ってゆく段階にきたというところである。しかし,戦争の傷あとは大きい。拘置所および刑務所は依然として収容過剰の状態を脱していない。しかも,前述したように処遇の困難なものが各施設に増加している。少年施設においては,後述するように施設が少年処遇にふさわしくないばかりでなく,これにあたる職員は絶対的に不足している。応急の処置は終わったというものの,それは,とりあえずのことにすぎない。その上に,矯正処遇の内容に充実をはかる必要があるので,問題は多岐にわたっている。これらの問題のうち,短期自由刑の問題,刑務所や少年院における刑務作業,職業補導の問題,それに,矯正施設の建築の問題を次に述べることにする。