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 昭和36年版 犯罪白書 第二編/第三章/五/1 

五 少年院

1 入院者の増減とその特質

(一) 新収容者

 昭和三〇年以来五カ年間の少年院新収容者(新たに家庭裁判所より少年院に送致された者)の年間累計を比較すると,IV-13表のとおりである。

IV-13表 少年院の新収容者数(昭和30〜34年)

 昭和三一年に減少をみせた新収容者数も,昭和三二年以降漸増の傾向をたどり,昭和三四年には九,〇〇〇人をこえるに至っている。また一日平均収容人員の増減について,同様に昭和三〇年以降の五カ年にわたって,各年を調べてみるとIV-14表のとおりとなり,収容者の増減の傾向は,新収容者の増減傾向から一年ほど遅れてあらわれてはいるが,ほぼ同様の推移をたどり,近年において増加しつつあることを示している。増減の傾向にこのような一年のズレのあることは,少年院在院期間の平均が,一四カ月強であることによる。

IV-14表 少年院の一日平均収容人員(昭和30〜34年)

(二) 年齢

 最近五カ年間に,あらたに少年院に収容された者について,その年齢の分布を調べてみると,IV-15表の通りである。この表からわかることは,男女ともに高年齢層の者が漸次減少し,十八才以下の者の増加が目立つことである。ただし,男女の増加の傾向は異なっている。男子の場合は,昭和三〇年において一九才だったピークが次第に一八才に移り,同時に一七,六,五才の者も増加していることがわかる。これに反し女子は,昭和三〇年において一七才だったピークが一八才に移っており,特に低年齢層の増加はうかがえないが,同時に前に述べたとおり一九才以上の者は減少している状態である。

IV-15表 少年院新収容者の年齢別・性別人員と率(昭和30〜34年)

(三) 行為

 最近五年間の少年院新収容者の行為別分布を調べると,IV-16表のとおりである。この表から,最近の傾向として,強盗,殺人,放火および粗暴犯が増加し,一方,知能犯や窃盗が減少していることがわかる。

IV-16表 少年院新収容者の行為別人員と率(昭和30〜34年)

 さらに,年齢別に行為別の分布をとったものがIV-17表であって,昭和三四年のものを昭和三〇年と対比させてみた。

IV-17表 少年院新収容者の年齢別・行為別人員と率(昭和30,34年)

 この表によると,強盗,殺人,放火および粗暴犯の増加は,低年齢層においていちじるしいことがわかる。
 以上によって最近の少年院収容者は,全般的に年齢が低くなりつつあり,かつその行為は,ことに低年齢層においていちじるしく粗暴化していることがわかる。