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フランスの犯罪現象を重罪・軽罪の有罪人員の推移によってみると,英独両国と比較して良好な状態にあるといえよう。戦前の一九三八年および戦後の一九四八年,一九五四年ないし一九五八年の有罪人員と人口一〇万人に対する有罪人員の率を示すと,I-46表のとおりであり,右の率を一九四四年以降につきグラフに示すと,I-21図のとおりである。I-21図によると,戦後の混乱期には犯罪は増加したが,一九四九年から一九五三年までの間に大幅に減少し,その後も低い水準を保っている。一九五八年を一九四八年と比較すれば,約五四%になっており,また,戦前の一九三八年と比較するとその約八一%であるから,きわめて良好な状態にあるということができる。ただ,アルジェリア事件の影響により,アルジェリヤ人による犯罪は,フランス国内でも増加する傾向にあり,そのなかにはテロ事件もあるが,全体の犯罪情勢に影響を与えるほどの数ではない。
I-46表 重罪・軽罪有罪人員と率(フランス)(1938年,48年,54〜58年) I-21図 重罪・軽罪有罪人員の率(フランス)(1944〜58年) 一九五九年の司法統計は,まだ発表されていないが,同年の警察統計によって,主要刑法犯の発生件数および解明件数(犯罪および犯人が明らかにされた事件の数)の統計を示すと,I-47表のとおりである。財産罪の占める比率が大きく,特に窃盗が最も多い点は,他の国々と同じである。また,強盗については,武器を所持して犯した窃盗等の犯情の重いものを含めて,加重盗罪(Vols qualifies)として計上されているため,純粋の強盗の事件数は明らかでない。I-47表 主要刑法犯の罪種別発生・解明件数等(フランス)(1959年) |