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3 矯正施設収容中の者の環境調整 矯正施設に収容されている者の社会復帰を図る上で,本人の帰住先の環境の状態が極めて大きな影響を持つので,本人が矯正施設にいるうちから,将来の社会復帰に備えて,その更生のために最も適した帰住環境を準備しておく必要がある。この一連の作業が保護観察所の行う仮釈放の準備手続としての環境の調整である。
環境調整においては,引受人及びその家庭の状況,近隣の状況,本人の犯罪又は非行に対する社会の感情,矯正施設収容前の生活状況及び交友関係,釈放後の学業又は職業及び生計の見込み,犯罪又は非行の動機及び原因等を調査し,必要な調整を行うのである。調査・調整の結果は,環境調整報告書及び同追報告書として,地方更生保護委員会と矯正施設に送付され,仮釈放審理のために使用され,また,矯正施設における処遇上の参考資料ともされる。 昭和50年中に保護観察所が受理した環境調整事件及びこれに関する報告書提出の状況は,II-64表に示すとおりである。受理総数は,旧受,新受合わせて6万5,679件に達し,その92.7%は受刑者に関するものである。50年中に提出された報告書は,当初報告と追報告を合わせると7万1,174件で,前年に比べ2,024件減少しているが,50年末現在,3万7,110人についての環境調整事件が全国の保護観察所に係属しており,更生保護における環境調整の占める比重の大きさを示している。 II-64表 環境調整事件の受理及び処理状況(昭和50年) 仮釈放の審理及び環境調整の円滑な運用に資するため,地方更生保護委員会においては,近年一部の矯正施設で仮釈放の準備調査を実施し,その実施が60施設にも及んでいることは,第4章第1節で紹介したところであり,仮釈放申請前調査としての準備調査の将来が注目される。なお,昭和50年中に新たに仮釈放準備調査の対象となった収容者数は2,963人,同年に終了した数は1,934人で,そのうち,1,539人については,同年中に仮釈放の申請がなされている。 |