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 昭和51年版 犯罪白書 第1編/第1章/第2節/1 

第2節 特別法犯の概況

1 概説

 昭和50年における特別法犯の検察庁新規受理人員を前年との対比において示したのが,I-20表である。50年における道交違反を除く特別法犯の新規受理人員は,前年より2万8,520人増加して,16万7,811人となっている。

I-20表 特別法犯検察庁新規受理人員(昭和49年・50年)

 罪名別に見て,最も高い増加率を示したのは,公職選挙法違反で,前年の約2.4倍となっている。これは,昭和50年に統一地方選挙をはじめとして各種地方選挙が行われたためである。そのほか,前年より増加した主なものは,覚せい剤取締法,大麻取締法,出資の受入,預り金及び金利等の取締等に関する法律,所得税法,道路運送車両法及び軽犯罪法の各違反である。
 次に,道交違反関係を見ると,昭和50年の検察庁新規受理人員は200万3,278人で,前年より13万5,028人増加している。罪名別に見ると,道路交通法違反が前年より増加し,自動車の保管場所の確保等に関する法律違反は減少している。
 特別法犯の新規受理人員が検察庁新規受理人員総数中に占める比率の推移を示したのが,I-4図で,昭和50年では71.7%となっている。この比率の増大は,主として道交違反の増加によるもので,43年の交通反則金制度の施行以後はやや低下している。

I-4図 検察庁新規受理人員中に占める特別法犯の比率(昭和21年,30年,40年,50年)

 以下において,特別法犯を保安,財政経済,麻薬・覚せい剤,選挙及び風俗に関する各法律違反に分けて,最近の動向を説明する。なお,交通犯罪及び公害犯罪については,それぞれ,第3編第2章第2節及び本章第8節において述べる。