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1 概説 刑務所,少年院,婦人補導院等の矯正施設に収容されている者を,収容期間満了前の適当な時期,すなわち,施設の中で処遇するより一般の社会へ移して処遇する方が本人の更生のためによいと思われる時点で,一定の条件の下に,処遇の転換として仮に釈放する措置が仮釈放である。刑務所からの仮釈放を仮出獄と呼び,少年院又は婦人補導院からの仮釈放を仮退院と呼んでいる。仮出獄者と仮退院者は,いずれも釈放後保護観察に付され,保護観察期間中,一定の遵守事項を守る義務を負い,遵守事項に違反したり,再犯があった場合には再び矯正施設に収容されることがある。このように,釈放後に保護観察という処遇を伴う仮出獄及び仮退院は,いわゆるパロールに該当するもので,これに対して,仮釈放の一態様ではあるが,拘留に処せられた者や,罰金,科料を完納できず労役場に留置されている者についての仮出場は,保護観察を伴わず,したがって,釈放後,条件違反などによって再収容されることはなく,パロールには属さない。
これらの仮出獄,仮退院及び仮出場を内容とする仮釈放の許否の決定は,高等裁判所単位に置かれている全国8箇所の地方更生保護委員会が,収容者個々についてその性格・行状・態度及び能力,施設内での成績,帰住後の環境などを考慮して決定する。 仮釈放は,通常の場合,矯正施設の長が収容者について仮釈放を許すことが相当であると認めたとき,その施設の所在地を管轄する地方更生保護委員会に対し申請をし,それに基づき,各事件ごとに指名される主査委員が審理のうえ,委員3人で構成する合議体でその許否が決定される。 最近5年間の地方更生保護委員会における仮釈放の申請受理及び許否決定の状況は,II-77表のとおりである。 II-77表 仮釈放の種類別受理・決定の状況(昭和45年〜49年) 仮釈放の申請を受理した人数の総数は,矯正施設収容者が減っていることを主な原因として逐年減少し,昭和49年には2万521人となり,前年に比べ更に1,111人の減となり,特に少年院仮退院申請の逓減が目立っている。仮釈放の申請受理人員の減少に伴い,仮釈放許可人員も,同表のとおり,逐年減少しているが,仮釈放の種類によって許可基準や背景となる事情も異なるので,以下,種類ごとに分説するが,ここでは,仮釈放申請受理総人員の約9割を占める仮出獄について検討し,少年院からの仮退院と不定期刑受刑者の仮出獄については,第3編第1章第7節少年の仮釈放及び保護観察において述べることとする。なお,仮出場の申請人員は,昭和49年においてば6人であり,婦人補導院仮退院の申請は1人にすぎないので,それらに関する記述は省略する。 |