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1 少年の仮釈放 仮釈放申請の受理及び許否決定の概況は,第2編第4章第2節において述べたので,ここでは,少年院からの仮退院と不定期刑受刑者の仮出獄について考察する。
(1) 少年院からの仮退院 少年院からの仮退院については,刑務所からの仮出獄の場合と異なり,釈放前に矯正施設で一定期間を経過しなければならない法律上の規定はない。少年院在院者が処遇の最高段階に達し,保護観察に付することが本人の改善更生のため相当と認められるとき,又は例外的に,処遇の最高段階に達していなくても,本人の努力によって成績が向上し,保護観察に付すことが改善更生に特に必要であると認められるときは,いつでも地方更生保護委員会の決定により仮退院させることができる。
昭和49年における少年院からの仮退院申請受理人員は,前述のとおり,1,853人で,前年より418人(18,4%)減少している。この申請受理人員の減少は,主として,少年院在院者の減少によるものであって,近年継続的に見られる傾向である。 少年院からの仮退院申請に対する棄却人員は6人(0.3%)で,その数は極めて少ない。 最近5年間における少年院からの出院人員を仮退院・退院別に見ると,III-92表のとおりである。この退院の中には,矯正の目的を達したことを理由とする地方更生保護委員会の決定による退院(良好退院〉と,法定の年齢に達したか,収容の期限に達したことを理由とする退院(満齢・満期退院)とが含まれるが,上記良好退院の例は極めて少なく,昭和49年は該当者がない。III-92表によれば,仮退院者の実数は依然減少していて,49年は1,813人であるが,出院者総数に占める割合は下降の傾向にあり,同年で76.%となっている。 III-92表 少年院からの仮退院・退院別人員(昭和45年〜49年) (2) 不定期刑受刑者の仮出獄 不定期刑受刑者の最近5年間における仮出獄許否状況は,III-93表に示すとおりである。棄却率は,昭和47年まで上昇していたが,以後下降をたどり,49年は棄却人員はわずか4人(1.5%)である。許可の実人員と,それが仮出獄許可総人員中に占める割合とは,いずれも急激に減少しているのが目立つが,これは,不定期刑受刑者そのものの減少に起因している。
III-93表 不定期刑仮出獄決定状況(昭和45年〜49年) 不定期刑受刑者は,服役してから刑の短期の三分の一を経過することが,仮出獄になるための資格要件の一つとなっているが,仮出獄許可人員のうち,刑の短期経過前に許可のあった者と経過後に許可のあった者の人員をIII-94表で見ると,短期経過前の許可人員は,昭和48年から増加しており,特に49年の伸びは著しい。しかし,なお8割以上の者が短期経過後の仮出獄による出所である。III-94表 不定期刑仮出獄の短期経過前・後の許可人員(昭和45年〜49年) また,同年に出所した不定期刑仮出獄者について,刑の執行率(長期に対する執行済みの期間の比率)をIII-95表で見ると,刑期によって差はあるが,全体として,執行率80%以上の者が42.9%あり,執行率70%以上の者は77.4%を占めている。III-95表 不定期刑仮出獄者の刑の執行率別人員(昭和49年) (3) 少年院在院者に対する仮釈放準備調査 |