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 昭和46年版 犯罪白書 第三編/第二章/三/2 

2 交通犯罪少年の特性

 交通犯罪を犯して家庭裁判所に送致される少年のうち,少年鑑別所における資質鑑別の対象となる者の中には,違反や事故の内容,態様等からみて,資質上問題の多いものがかなり含まれている。法務総合研究所が行なった全国調査(昭和四四年九月中に鑑別を終了した交通犯罪少年八一五人を調査対象としたもの。)の結果によると,年齢別では,その七割以上が一八,九歳の年長少年であり,罪名別では,六割以上が道交違反のみで人身事故を伴わず,態様別では,おおむねその半数が無免許運転か速度違反である。性格的には,交通犯罪以外の犯罪少年に比較して,一般的に外向的,活動的で,抑制力の弱い傾向をもった過活動型の性格に属する者が多くみられ,内向的,抑うつ的で被影響性の強い傾向をもった収縮型の性格に属する者が少ないという特性が示されている。限られた調査対象から得られたこれらの結果から,直ちに交通犯罪少年の一般的特性を論ずることには問題があるが,共通した一面もみられ,かれらの持つ特性を明らかにすることによって,個々の少年にとって適正な指導ないし処遇の指針が得られる。法務総合研究所の調査の結果によっても,知能検査や性格検査のほかに運転適性検査も加え,三種類の検査の適当な組合せが有効であることが示されている。
 なお,交通犯罪少年のみを対象として,松山少年院においては,昭和四四年一月から交通短期少年院として,宇治少年院においては,昭和四五年三月から交通訓練所として,それぞれ特色のある処遇を行なってきている。その経験に照してみても,交通犯罪少年については,規範性の欠如,衝動性,自己中心性など,かれらの運転態度の面でみられる特性を,かれら自身の問題として受けとめさせることに目標をおいた指導法が効果をあげている。