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 昭和46年版 犯罪白書 第二編/第三章/三/3 

3 更生(緊急)保護の実施状況

 最近五年間における更生(緊急)保護事件の受理・処理の状況および昭和四五年における事件の種別ごとの内訳は,II-104表のとおりである。これによると,受理人員および保護措置決定人員は,いずれも逐年減少の傾向にある。

II-104表 更生(緊急)保護事件の受理および処理人員累年比較(昭和41〜45年)

 昭和四五年における受理人員の総数は九,八〇五人であり,事件種別でみると,刑の執行終了者が八,二二七人(八三・九%)で大部分を占め,次いで起訴猶予者が一,二八七人(一三・一%)となっている。
 受理人員のうち,保護措置をとる決定のあった人員は九,七七二人で,その内訳は,自庁保護だけの者五,一二三人(五二・四%),委託保護だけの者三,六二九人(三七・一%),自庁および委託の両保護措置の者一,〇二〇人(一〇・四%)であり,保護措置をとらない決定のあった人員は三三人にすぎない。
 昭和四五年における自庁保護の実施人員は,II-105表のとおりで,総数は六,一四三人である,措置別にみると,鉄道運賃割引証の交付が最も多く,次いで,食事給与,旅費支給等となっている。委託保護については,II-106表のとおりで,総数は五,三七九人であり,その大部分が食事付宿泊供与である。

II-105表 自庁保護の実施人員(昭和45年)

II-106表 委託保護の実施人員(昭和45年)

 なお,法務省保護局の調査によって,昭和四四年中に更生保護会を退会した七,九五八人について,その退会時の状況をみると,次のとおりである。
 まず,更生保護会における在会期間では,一〇日未満が二二・八%,一月未満が二三・一%,三月未満が二八・九%,六月未満が一五・九%,六月以上が九・三%となっており,入会後かなり早い時期に退会している者が多い。次に,退会の理由をみると,「円満退会」が七〇・四%で最も多いが,「無断退会」が一九・八%,「勧告による退会」が三・七%,「犯罪による退会」が三・二%,「その他」が二・九%となっており,無断で退会する者が少なくないことは検討を要するところである。
 さらに,退会先についてみると,「就職先に住込」が二九・四%,「親族,縁故者のもとに帰住」が二五・八%,「下宿・借家等への転出」が一三・〇%で,大部分の者が自立への足がかりを得て退会しているといえるが,反面,「社会福祉施設に転出」が三・一%,「不明」が二〇・二%,「その他」が八・五%となっている。また,退会時の職業をみると,「単純労働」が三五・七%,「建設・生産従事」二〇・九%,「専門技術職」七・六%,「運輸機関運転」六・一%,「サービス業」五・五%,「販売業」二・四%,「農林漁業・鉱業」一・〇%,「事務・管理職」〇・八%,「その他の職業」四・九%であるほか,「無職」が一五・〇%にのぼっている。