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1 収容状況 補導処分による収容期間は,売春防止法第一八条によって,六月と定められている。
最近五年間の入出院状況は,II-74表のとおりであるが,新収容者の減少傾向は続いており,昭和四五年の新収容者は,四九人で,前年に比べて三七人減少している。昭和三三年五月,婦人補導院が収容を開始して以来一二年間の新収容者数の各年別推移をみると,II-4図のとおりで,発足時の昭和三三年には九六人,同三四年には二七八人,同三五年には四〇八人と急増したが,その後は減少傾向に転じ,最近の二年間は発足時の新収容者数を下回るに至っている。ちなみに,この推移を,同じII-4図に示されている売春防止法違反によって刑務所に収容された女子新受刑者数の推移と比較してみると,昭和三三年から昭和三六年までは婦人補導院収容者の方が多く,女子受刑者数をかなり上回っていたが,両者の数は,昭和三七年から昭和四〇年にかけて接近し,昭和四一年以降は逆転して,受刑者の方が多くなっており,昭和四五年の新受刑者数は,婦人補導院新収容者数を八七人上回る一三六人となっている。また,売春防止法違反による女子の検挙人員の推移をみると,最も多かった昭和三四年の一七,七二九人から減少の一途をたどり,昭和四五年には,四,七二〇人と,昭和三四年の三分の一以下となっている。このように,売春防止法違反による女子の検挙人員の減少が,婦人補導院における新収容者数減少の背景的要因のひとつとなっている。 II-74表 婦人補導院の入出院状況(昭和41〜45年) II-4図 婦人補導院新収容者および売春防止法違反女子新受刑者の年次別推移(昭和33〜45年) 入院者数の減少に伴って出院者数も減少し,II-74表に示すとおり,昭和四五年には退院者五六人,仮退院者一人の合計五七人となっている。仮退院は,補導成績の良好な者について,補導期間満了前に,地方更生保護委員会の決定によって許可されるが,仮退院者は,例年きわめて少なく,昭和四五年は,わずか一人にすぎない。新収容者の入院時年齢は,II-75表のとおりで,昭和四五年についてみると,三〇歳から四四歳までの者が,総数の六五・三%を占め,収容者の高年齢化が目だっている。 II-75表 婦人補導浣新収容者の年齢別人員(昭和43〜45年) 新収容者の入院度数についてみると,II-76表のとおりで,昭和四五年においては,初入院者が例年どおり最も多く,総数の五三・一%を占めているが,前年と比較すると,実人員で三四人,構成比率で一六・七%と大幅に減少している。II-76表 婦人補導院新収容者の入院度数(昭和43〜45年) 最近三年間の再入院者について,前回出院時から再犯までの期間をみると,II-77表に示すとおりである。昭和四五年においては,再犯期間一年未満の者は,総数の六〇・八%を占めている。補導院出院者の多くが,このように短期間に再犯をするに至るひとつの理由として,その売春歴の長さをあげることができる。収容者の売春歴の長さは,個人的な資質の欠陥や恵まれない生活環境を反映している場合が多く,長期間にわたって習慣化している安易な生活様式を改善させることは,きわめて困難である。II-78表は,最近三年間の補導院新収容者について,その売春経験年数を調べたものである。売春経験が五年をこえる者の割合は,逐年増加しており,昭和四五年には,六七・三%を占めている。II-77表 婦人補導院新収容者中再入院者の再犯期間別人員(昭和43〜45年) II-78表 婦人補導院新収容者の売春経験年数(昭和43〜45年) 新収容者の知能指数について,その分布をみると,II-79表に示すとおりで,一般に,知能が劣るといわれている知能指数七九以下の者の割合は,総数の七九・五%を占めている。知能指数の低い者が収容者の大部分を占める傾向は例年と変わらない。II-79表 婦人補導院新収容者の知能指数別人員(昭和43〜45年) 新収容者の精神状況は,II-80表に示すとおりで,昭和四五年においては,精神薄弱が四二・九%,精神病質傾向が一〇・二%,精神病質が二・〇%と,何らかの特殊処遇を必要とする精神障害者の割合は,過半数を占めており,この傾向も例年と変わっていない。II-80表 婦人補導院新収容者の精神状況(昭和43〜45年) |