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 昭和35年版 犯罪白書 第四編/第二章/六/3 

3 二号観察対象者の特徴

(一) 年齢

 まず,年齢でみると,法務省保護局の調査によれば(IV-63表参照),一六才未満が五・七パーセント,一六才以上一八才未満が三〇・七パーセント,一八才以上二〇才未満五一・五パーセント,二〇才以上二三才未満が一二・一パーセントで,一号観察よりは高年齢層が多いことが注目される。

(二) 職業

 保護観察中の職業については,さきにあげたIV-64表にみるとおり,一号観察にくらべて,失業者を含む無職者の率が高くなっている。前者がわずか七パーセントであるに対し,これは一四パーセントを算している。

(三) 処分歴

 非行歴の有無とその種類をみると,昭和三三年に少年院に送致されたものについては,IV-71表72表のとおりで,当然のことであるが,一号観察に比し,前歴者の比率は高く,七一パーセントにのぼっている。仮退院によって保護観察に入るものは,かならずしも,少年院送致者の全部ではないが,それにしても,仮退院が原則的にもちいられている今日では,この状況に大きな変化はない。

IV-71表 少年院送致者の前処分の有無・回数別人員(昭和33年)

IV-72表 少年院送致者の前処分の種類別人員(昭和33年)

(四) その他の諸特徴―一号観察との対比

 昭和三一年一月一日から同月末日まで全国の保護観察所が受理した一号観察(一,〇八一人)事件と二号観察(四一四人)事件(新受人員のうち,道路交通違反事件を除く)とについて,昭和三二年三月末日現在で集計調査した結果によると,つぎの諸点に注目すべきものがある。
(イ) 精神状況―精神医学的診断をほどこした者のみについていえば,IV-73表のとおりで,これによれば,精神障害のある者は,一号観察に二一・五パーセント,二号観察に三二・四パーセントあり,しかも,精神病質は一二・九パーセントという高い比率になっている。
(ロ) 家の生活程度IV-74表のとおりで,「下流」が一号観察と二号観察とのどちらにも六〇パーセントをしめているが,「極貧」になると,二号観察のほうが高くなっている。また,一号観察には「中流」が多い。
(ハ) 本人に対する家族の態度IV-75表のとおりで,二号観察の「不良」の率が高い。
(ニ) 就業状況―業種については,さきにIV-64表でもみたが,本調査によるのは,IV-76表のとおりである。二号観察には,「失業」その他が多い。
(ホ) 交友状況IV-77表のとおりであるが,やはり,二号観察は「不良」が三二・一パーセントと高くなっている。
(ヘ) 保護観察に対する本人と保護者の態度IV-78表のとおり,二号観察のほうが,本人も保護者も非協力の程度がつよい。

IV-73表 一・二号観察対象者の精神状況別人員と率(昭和32年3月末現在)

IV-74表 一・二号観察対象者の家庭の生活程度別人員の百分率(昭和32年3月末現在)

IV-75表 一・二号観察対象者に対する家族の態度別人員の百分率(昭和32年3月末現在)

IV-76表 一・二号観察対象者の就業状況別人員の百分率(昭和32年3月末現在)

IV-77表 一・二号観察対象者の交友状況別人員の百分率(昭和32年3月末現在)

IV-78表 保護観察に対する本人と保護者の態度別人員と率(昭和32年3月末現在)