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平成25年版 犯罪白書 第6編/第6章/第2節/2

2 窃盗による入所受刑者の再犯防止と改善更生

最近5年間の女子入所受刑者の特徴を見ると,高校卒業以上の者の割合は,65歳以上の高齢者層を除き,年齢層が上がるにつれて高くなり,かつ,高齢者層においても3割強を占めていること(6-4-1-6図<2>参照),年齢層が上がるにつれて,婚姻歴のある者の割合が高くなり,40歳以上においては約9割を占めること(6-4-1-7図<2>参照),いずれの年齢層においても,初入者が半数以上を占めること(6-4-1-9図<2>参照)といった特徴が挙げられ,これらの点から見ると,全般に女子入所受刑者の犯罪リスクが特に高いとは言えない。そうでありながら,窃盗による女子高齢者の入所受刑者が著しく増加していること(6-4-1-5図<2>参照)からすると,生活困窮等の事情だけでなく,別の動機や背景事情によって,窃盗に至る者が少なくないものと考えられる。

平成21年版犯罪白書では,窃盗の受刑者への調査により,窃盗に至る背景事情は男女で様相が異なり,女子では,年齢層にかかわらず,収入の問題と同程度に家族(交際相手を含む。)とのトラブルを背景事情として挙げる者が多く,また,体調不良を挙げる者も男子に比べて多いと指摘し,女子特有の問題性の存在がうかがわれた。

高年齢化する女子の窃盗受刑者の再犯を防止するためには,まずは,女子の犯罪者が万引きを始めとする窃盗を犯す,あるいは繰り返す過程や経緯,背景事情等について,その属性や犯罪傾向の進度等も踏まえて洗い出し,男女共通の問題点に加え,女子特有の問題点を解明していくことが必要であり,その上で,そこから浮かび上がる問題点に応じた適切な処遇方策を確立することが重要である。

また,受刑者の再犯防止と社会復帰を図るには,更生に適した帰住先の確保が重要である。

最近5年間における女子入所受刑者では,婚姻歴を有している者が8割近くを占めており,その割合は男子(6割弱)に比べて高く,また,現に配偶者を有している者も3割以上を占めている(6-4-1-7図<1>参照)が,他方,その帰住先を見ると,例年,「父・母」の比率が3割以上を占めて最も高いのに対し,「配偶者」の比率は1割程度にとどまり,かつ「更生保護施設」を帰住先とする者も同程度の割合を占めており,何らかの事情により家族や親族を「帰住先」とすることのできない女子の出所受刑者が少なからず存在することが認められる(6-5-2-2図参照)。窃盗の女子入所受刑者の場合も,初犯時から刑事施設への入所に至るまでの過程において,配偶者を始めとする家族との関係の悪化等の問題が顕在化する者が相当数あるのではないかと考えられる。

女子受刑者の中には,経済面で他者に依存した生活を送っていた者が多く見受けられるとの指摘もあるところであり(本編第4章第1節コラム参照),高年齢化に伴って出所後の就職が困難となっていく状況において,最大の支援者である家族や親族との関係調整は,重要なものとなっている。女子受刑者は,男子に比べ婚姻歴を有している者の割合が高く,子や孫,配偶者の親族を含め,婚姻を契機として形成された家族や親族等も更生に向けた支援者・協力者となり得るものとして,関係調整に努める必要がある。直ちに家族・親族等の協力を得られない高齢者等の場合には,特別調整により福祉施設等への帰住の調整はもとより重要であるが,女子受刑者の場合,家族,親族等の者の理解を求め,その環境を最大限に活用していくことも重要である。