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平成25年版 犯罪白書 第6編/第4章/第1節/3

3 女子の入所受刑者
(1)人員及び罪名

6-4-1-2図は,女子の入所受刑者の人員の推移(最近20年間)を見たものである。平成5年の人員は919人であり,その後18年まで一貫して増加したが,19年は若干減少し,以降横ばいで推移している。24年は,5年の約2.4倍の2,225人であった。罪名別に見ると,窃盗の増加が著しく,24年には,覚せい剤取締法違反を抜いて,窃盗が最も多くなった。女子比については,12年以降一貫して上昇している。


6-4-1-2図 女子の入所受刑者の人員(罪名別)・女子比の推移
6-4-1-2図 女子の入所受刑者の人員(罪名別)・女子比の推移
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(2)年齢層

6-4-1-3図は,女子の入所受刑者の年齢層別構成比の推移(最近20年間)を見たものである。29歳以下の若年者層の構成比は,平成14年以降低下傾向にあるところ,65歳以上の高齢者層の構成比は,同年以降上昇傾向にある。なお,24年の入所受刑者における65歳以上の高齢者層の構成比は,女子が12.8%,男子が8.5%であり,女子の高齢者層の構成比が高い(2-4-1-5図参照)。


6-4-1-3図 女子の入所受刑者の年齢層別構成比の推移
6-4-1-3図 女子の入所受刑者の年齢層別構成比の推移
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6-4-1-4図は,平成20年から24年の女子の入所受刑者について,年齢層別に罪名別構成比を見たものである。29歳以下の若年者層では,覚せい剤取締法違反の占める比率が50%を超えている。30歳代以上では,年齢層が上がるにつれて,覚せい剤取締法違反の占める比率が低くなるとともに,窃盗の占める比率が高くなっており,50歳以上64歳以下では窃盗の比率が約55%,65歳以上の高齢者層では同比率が約80%となっている。


6-4-1-4図 女子の入所受刑者の罪名別構成比(年齢層別)
6-4-1-4図 女子の入所受刑者の罪名別構成比(年齢層別)
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6-4-1-5図は,女子の入所受刑者について,29歳以下の若年者層及び65歳以上の高齢者層の罪名別人員の推移(最近20年間)を見たものである。若年者層においては,覚せい剤取締法違反が占める割合が最も高いが,その割合は低下傾向にあり,かつ,実人員も減少傾向が顕著(平成13年において300人,24年において151人)である。一方,高齢者層においては,窃盗が5年(18人)から24年(234人)にかけて13倍に増加している。


6-4-1-5図 女子の入所受刑者の罪名別人員の推移(若年者層・高齢者層別)
6-4-1-5図 女子の入所受刑者の罪名別人員の推移(若年者層・高齢者層別)
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(3)教育程度

6-4-1-6図は,平成20年から24年の入所受刑者の教育程度別構成比を男女別に見るとともに,女子について年齢層別に見たものである。女子では,不就学等及び中学卒業の人員(以下合わせて,この編において「義務教育修了までの者」という。)の比率は男子に比べて低く,高校卒業及び大学在学・中退・卒業の人員(以下合わせて,この編において「高校卒業以上の者」という。)の比率は男子に比べて高い。


6-4-1-6図 入所受刑者の教育程度別構成比(男女別・年齢層別)
6-4-1-6図 入所受刑者の教育程度別構成比(男女別・年齢層別)
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さらに女子では,29歳以下の若年者層において高校中退者の比率が高いこと,65歳以上の高齢者層を除き,年齢層が上がるにつれて高校卒業以上の者の比率が高くなること,65歳以上の高齢者層において義務教育修了までの者の比率が他の年齢層に比べて著しく高いことという特徴が見られる。

(4)婚姻状況

6-4-1-7図は,平成20年から24年の入所受刑者の婚姻状況別構成比を男女別に見るとともに,女子について年齢層別に見たものである。女子は,男子に比べて,未婚の者の比率が低く,離別・死別を含めて婚姻歴のある者の比率が約8割と高い。また,女子においては,30歳代以上のいずれの年齢層においても,有配偶の者が約3割から4割となっている。


6-4-1-7図 入所受刑者の婚姻状況別構成比(男女別・年齢層別)
6-4-1-7図 入所受刑者の婚姻状況別構成比(男女別・年齢層別)
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(5)犯行時の就労状況

6-4-1-8図は,平成20年から24年の入所受刑者の犯行時の就労状況別構成比を男女別に見るとともに,女子について年齢層別に見たものである。女子では無職者が約8割を占め,男子に比べてその比率は高い。


6-4-1-8図 入所受刑者の就労状況別構成比(男女別・年齢層別)
6-4-1-8図 入所受刑者の就労状況別構成比(男女別・年齢層別)
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(6)入所度数

6-4-1-9図は,平成20年から24年の入所受刑者の入所度数別構成比を男女別に見るとともに,女子について年齢層別に見たものである。女子では初入者が約6割を占め,男子に比べてその比率は高い。


6-4-1-9図 入所受刑者の入所度数別構成比(男女別・年齢層別)
6-4-1-9図 入所受刑者の入所度数別構成比(男女別・年齢層別)
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さらに女子では,年齢層が上がるにつれて初入者の比率が下がるものの,いずれの年齢層においてもその比率は5割を超えている。一方,再入者を見ると,65歳以上の高齢者層においては,入所度数が6〜10度の者が約10%を,11度以上の者が約5%を,それぞれ占めている。

(7)精神障害の有無

平成20年から24年の入所受刑者において,精神障害を有する者(刑事施設において,知的障害,神経症性障害及びその他の精神障害(統合失調症,精神作用物質による精神及び行動の障害等をいい,人格障害を除く。)を有すると診断された者をいう。)の比率は,女子は15.4%であり,男子(7.5%)よりも高い(矯正統計年報による。)。

なお,平成25年9月20日現在で,拒食や食べ吐きなどの異常な食行動を繰り返す摂食障害のある女子受刑者(栃木,笠松,加古川,和歌山,岩国及び麓の各刑務所,札幌及び福島の各刑務支所又は美祢社会復帰促進センターに収容されている者に限る。)は106人(当該施設に収容中の女子受刑者の2.6%)であり,八王子,大阪及び北九州の各医療刑務所における摂食障害のある女子受刑者は18人(当該施設に収容中の女子受刑者の23.4%)であった(法務省矯正局の資料による。)。