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 平成20年版 犯罪白書 第7編/第2章/第6節/1 

第6節 高齢者の犯罪被害

1 高齢者の犯罪被害と被害発生率

 高齢者が被害に遭った一般刑法犯罪名別認知件数及び高齢者人口10万人当たりの犯罪被害認知件数の比率(以下,本節において「高齢被害発生率」という。)の推移(最近10年間)は,7-2-6-1図のとおりである。
 高齢者が被害に遭った一般刑法犯認知件数は,平成14年(22万5,095件)をピークとして,近年減少しており,高齢被害発生率も同様に低下している。同認知件数の減少傾向は,10年以降の一般刑法犯の高齢者起訴人員及び高齢者10万人当たり起訴人員が共に増加傾向にあること(本章第1節参照)と対照的である。
 平成19年の人(被害者が法人その他の団体及び年齢不明の場合を除く。)が被害者となった一般刑法犯の被害認知件数154万70件のうち,高齢者が被害に遭ったのは15万6,271件(10.1%)で,罪名別に,その件数の内訳及び構成比を見ると,窃盗が11万7,275件(75.0%),詐欺が1万110件(6.5%),傷害が1,784件(1.1%)等となっている。一方,同年の高齢被害発生率は,窃盗(427.0),詐欺(36.8),傷害(6.5)であり,これらの罪名の最近10年間の推移を見ると,窃盗は14年をピークにその後低下しているものの,詐欺及び傷害は,急激に上昇した後ほぼ横ばいで推移している。さらに,罪名別に,人(被害者が法人その他の団体及び年齢不明の場合を除く。)が被害者となった一般刑法犯被害認知件数総数に占める高齢被害認知件数の比率の高いものを見ると,放火(35.1%),殺人(21.7%),詐欺(20.6%),強盗(10.3%)となる。

7-2-6-1図 高齢者が被害者となった一般刑法犯の罪名別認知件数・高齢被害発生率の推移