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 平成20年版 犯罪白書 第7編/第2章/第5節/2 

2 高齢仮釈放者の具体像

 まず,全年齢層について,出所受刑者の仮釈放率の推移を入所度数別に見ると,この10年間に,いずれの入所度数の者についても,おおむね10ないし13ポイント前後仮釈放率が低下しているが,入所度数の増加に応じて,仮釈放率が低下する傾向自体は一定している。
 そこで,年齢層別に,平成19年の入所度数別仮釈放率を比較すると,すべての入所度数について,高齢受刑者の仮釈放率は,65歳未満の受刑者よりも低いことが分かる。特に,入所度数1度の場合,49歳以下の年齢層よりも約20ポイント低い(7-2-5-3図)。

7-2-5-3図 出所受刑者の入所度数別・年齢層別仮釈放率

 この入所度数別,年齢層別の仮釈放率について,さらに,罪名別に特徴が見られるかを分析したところ,本編第3章第2節の特別調査で取り上げた罪名である窃盗,傷害・暴行,殺人のすべてについて,高齢受刑者の仮釈放率は,65歳未満の者よりも低い(7-2-5-4図)。
 このように,多様な観点から分析しても,高齢受刑者の仮釈放率が,それ以外の年齢層に比べて低い要因については,これまでの複数の実態調査から見て幾つかの理由が考えられるが,例えば,[1]入所度数が1度の者の場合,その者が高齢であるため引受人等もいない場合が見られることによる釈放後の定住先の問題等が考えられ,[2]入所度数が2度以上の累犯者で,かつ,高齢に達する以前から犯罪を重ねてきた者の場合,[1]の問題に加えて,その釈放後の処遇困難性などが挙げられるので,その社会復帰の支援や再犯防止対策を考える上で,今後更なる調査・分析が必要と考えられる。

7-2-5-4図 出所受刑者の罪名別・入所度数別・年齢層別仮釈放率