この項では、調査対象事件において、被害者の精神障害の有無により、被害の態様、犯行時間帯及び被害の場所の傾向・特徴に違いがあるかについて見る。なお、この項の各調査では、判決書の「罪となるべき事実」で認定された同一被害者に対する犯行が二つ以上ある場合は、最初の犯行(被害者が最初に受けた被害)について取り上げている点に留意が必要である。
被害の態様について、調査対象被害者を群別に見ると、7-5-2-1図のとおりである。「強制わいせつ等」の構成比が、精神障害あり群では約7割を、精神障害なし群では約8割を、それぞれ占めていた。また、精神障害あり群においては、「強制性交等」の割合が26%を超えていた。なお、本図を見るに当たっては、精神障害あり群と精神障害なし群において、対象としている罪名が異なる点に留意が必要である。すなわち、精神障害あり群において、「強制性交等」は強制性交等、準強制性交等及び監護者性交等、「強制わいせつ等」は強制わいせつ、準強制わいせつ及び監護者わいせつであり、他方、精神障害なし群において、「強制性交等」は強制性交等及び監護者性交等、「強制わいせつ等」は強制わいせつ及び監護者わいせつである。
犯行時間帯について、調査対象被害者を群別に見ると、7-5-2-2図のとおりである。精神障害あり群では、「16時~17時59分」が最も多く、次いで、「14時~15時59分」、「12時~13時59分」の順であった。他方、精神障害なし群では、「0時~1時59分」が最も多く、次いで、「20時~21時59分」及び「22時~23時59分」の順であった。精神障害あり群は、精神障害なし群よりも「16時~17時59分」の構成比(23.4%)が高く、「0時~1時59分」及び「22時~23時59分」の構成比(いずれも3.5%)が低かった。
被害者が被害を受けた場所について、調査対象被害者を群別に見ると、7-5-2-3図のとおりである。精神障害あり群では、「学校・就労先・療養所・デイケア施設等」の構成比が最も高く、次いで、「屋外」、「被害者方」の順であった。他方、精神障害なし群では、「屋外」の構成比が最も高く、次いで、「その他」(ホテル、商業施設、建物内の共有スペース等)、「被害者方」の順であった。精神障害あり群は、精神障害なし群よりも「被害者方」、「学校・就労先・療養所・デイケア施設等」及び「自動車や送迎バス等の公共交通機関以外の乗り物内」の構成比が高く、「屋外」の構成比が低かった。