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令和7年版 犯罪白書 第7編/第4章/第4節

第4節 調査の結果(被害不申告の理由)

実際に発生した犯罪被害件数から認知件数を差し引いたものが犯罪被害の暗数であり、この暗数の存在が犯罪被害の実態把握を困難にしている。そのため、犯罪被害実態(暗数)調査においては、警察等の捜査機関に申告されなかった犯罪被害(暗数)について調査対象とし、犯罪被害の実態を明らかにしようとしている。さらに、同調査では、暗数が発生する要因を探るため、犯罪被害について調査対象者が捜査機関に被害申告をした理由及び被害申告をしなかった理由をそれぞれ調査しており、ここでは、前記第3節1項(2)で取り上げた主な被害について、調査対象者が被害申告をしなかった理由(被害不申告の理由)についての調査結果を見る。

捜査機関へ被害申告をしなかった理由について、被害態様別に、第5回調査及び第6回調査の結果を見ると、7-4-4-1図のとおりである。

各種詐欺等被害における「クレジットカード情報詐欺」では、「カード会社に知らせた」の該当率が約7~9割と大半を占め、突出して高かった。

「自動車損壊」では、「それほど重大ではない」の該当率が第5回調査では6割強、第6回調査では5割台と、いずれも過半数を占め、次いで「捜査機関の関与不可又は不要」の該当率が2~3割台で高かった。

「ストーカー行為」及び「DV」では、「自分又は家族による解決」の該当率が高く、第6回調査においては、「ストーカー行為」では6割、「DV」では過半数を占めた。また、いずれの被害態様でも、「それほど重大ではない」の該当率及び「捜査機関の関与不可又は不要」の該当率が1割台半ばから約3割であった。一方、「DV」では、「加害者の処罰を望まなかった」の該当率及び「どうしたらよいのか分からなかった」の該当率が1割台半ばから3割台半ばであり、第5回調査では、いずれの該当率も3割を超えたが、「ストーカー行為」では、「加害者の処罰を望まなかった」の該当率及び「どうしたらよいのか分からなかった」の該当率は0~2割台半ばであり、第5回調査では、「DV」における「加害者の処罰を望まなかった」の該当率が、「ストーカー行為」のそれを30pt以上上回った。

「窃盗(乗り物関係)」及び各種詐欺等被害における「その他の詐欺被害」における「それほど重大ではない」の該当率は、半数前後を占め、いずれの被害態様においても、「捜査機関の関与不可又は不要」の該当率及び「自分又は家族による解決」の該当率が1~2割台で続いた。

「暴行・脅迫」及び「性的な被害」では、いずれの調査回でも、特定の被害不申告理由の該当率が過半数を占めることはなく、複数の理由に分散する傾向が見られた。「暴行・脅迫」では、「それほど重大ではない」の該当率が3~4割台であり、「捜査機関の関与不可又は不要」の該当率及び「自分又は家族による解決」の該当率が2~3割台、「仕返しのおそれからあえて届け出ない」の該当率が1~2割台で続いた。「性的な被害」でも、「暴行・脅迫」同様に、「それほど重大ではない」の該当率が3~4割台であったが、そのほかに3割に達した被害不申告の理由はなかった。「性的な被害」における「どうしたらよいのか分からなかった」の該当率は、第5回調査及び第6回調査のいずれにおいても2割台であった。「性的な被害」では、「捜査機関の関与不可又は不要」の該当率が約2割、「自分で解決した(加害者を知っていた)」の該当率が1~2割台であった。「被害に遭ったことを知られたくなかった」の該当率も1~2割台であった。

7-4-4-1図 被害態様別 被害不申告の理由
7-4-4-1図 被害態様別 被害不申告の理由
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