令和5年6月、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律(令和5年法律第68号)が成立した。同法では、全ての国民が、その性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、等しく基本的人権を有するかけがえのない個人として尊重されることが明記されている。今回の特別調査でも、調査対象者のうち一部の者については、戸籍上の性別と自認する性別が一致していなかったが、これらの者については、それぞれ個別の事情により、処遇上のニーズや必要とされる配慮が大きく異なるものと考えられること等の事情から、分析対象より除くこととした。現状では、刑事司法手続の各段階において、戸籍上の性別に従い男女を区別した上で、必要に応じ、個別の事案ごとに性自認に配慮した対応がなされているものと考えられるところ、今後は、同法の成立・施行に伴い、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性を考慮した対応・処遇等の検討が望まれる。