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令和6年版 犯罪白書 第7編/第6章/第6節

第6節 まとめ

本編では、女性犯罪者の実態と処遇について分析・検討を進め、その傾向・特徴を踏まえた対策についても考察を加えた。

これまで見てきたとおり、女性受刑者は、男性受刑者とは異なる傾向・特徴があるところ、女性犯罪者の中でも多くの割合を占める薬物事犯者と窃盗事犯者においても、その傾向・特徴はそれぞれ異なっている。したがって、これらを一まとめにせず、個別的な指導・支援を的確に実現する必要がある。この点、平成25年版犯罪白書では、女性犯罪者のうち若年者層の多くを占める薬物事犯者について、その特性に応じた処遇策を確立する必要があるとともに、高齢者層の多くを占める窃盗事犯者についても、その特有の問題点に応じた適切な処遇方策を確立することが重要であると指摘したところであるが、その後、女性の薬物事犯者の特性や女性の窃盗事犯者に特有の問題点についての分析は、必ずしも十分には行われていなかった。本特集では、各種統計資料等に加え、特別調査により、女性犯罪者全体、薬物事犯者及び窃盗事犯者の傾向・特徴を明らかにした。今回の特集が、女性犯罪者の再犯防止及び円滑な社会復帰に向けた取組を進めるための一助となることを期待する。

法務総合研究所では、我が国における犯罪・非行の状況等に関し、多様な観点から、その時々のニーズを踏まえ、実証的調査・研究を進めているところ、今後も同様に継続して調査・研究を推進し、効果的な刑事政策の推進に資する基礎資料等を提供していくこととしている。