ここでは、最近30年間の犯罪動向を調査の対象とした統計調査の結果をまとめていることから、特に断りのない限り、平成6年以降のことについて述べる。
女性の刑法犯及び特別法犯の検挙人員総数は、一貫して男性よりも少ない。女性の刑法犯及び特別法犯の検挙人員総数に占める窃盗の検挙人員の比率は、男性よりも高く、その態様・手口別人員では、一貫して万引きが窃盗の検挙人員の75%以上を占めている。一方、男性では、万引きは窃盗の検挙人員の5割程度を占めるにとどまることから、女性の窃盗事犯においては、万引きが大きな割合を占めることが男性と比較しての特徴である。そして、女性による万引きの微罪処分率(万引きの検挙人員に占める微罪処分により処理された人員の比率をいう。)は一貫して男性よりも高いことから、万引きの場合、女性は、男性と比べて、検察官に送致されずに刑事手続を終えることが比較的多い傾向が認められる。
他方、女性による覚醒剤取締法違反の検挙人員は、平成7年以降、薬物事犯(覚醒剤取締法違反、大麻取締法違反、麻薬取締法違反、あへん法違反、毒劇法違反及び麻薬特例法違反をいう。以下この項において同じ。)の検挙人員の5割以上を占めており、薬物事犯に占める比率が一貫して最も高いのに対し、男性では、9年をピークにその後は減少傾向にあり、令和5年には大麻取締法違反の人員が覚醒剤取締法違反を上回っていることから、女性の薬物事犯においては、男性と比べて、覚醒剤取締法違反が大きな割合を占めている。