近年の女性犯罪者をめぐる刑事政策の動向について見ると、平成24年に行われた犯罪対策閣僚会議で、女性特有の問題に着目した指導及び支援が再犯防止のための重点施策の一つして掲げられ、更に29年の再犯防止推進法に基づく再犯防止推進計画と、それに続く令和5年の第二次再犯防止推進計画においても、それぞれ女性の抱える問題や困難に着目した指導・支援が求められ、刑事施設・保護観察所等においては、女性特有の問題に着目した様々な取組が実施されてきた。
近年の社会生活の状況についてみると、平成23年以降、我が国の総人口が減少していく中で、65歳以上の人口は男女共におおむね増加しており、高齢化が進んでいる状況にあり、また、世帯数の総数は増加傾向にあるところ、高齢者の家族形態別構成比では、男女共に、単独世帯及び夫婦のみの世帯の者はいずれも上昇傾向にあるものの、子と同居世帯の者は低下傾向にあり、世帯状況が変化している様子も見られる。そして、年齢層別就業率では、女性はいずれの年齢層においても男性よりも就業率が低く、雇用形態別構成比では、女性の「正規」が40%台であるのに対し、男性は「正規」が70~80%台を占めており、女性の就業状況は男性と比べて不安定であることがうかがえた。さらに、配偶者・交際相手からの暴力の被害経験の有無では、身体的暴行、心理的攻撃、経済的圧迫、性的強要のいずれについても、女性は、男性よりも被害経験があると答えた者の構成比が高く、女性は男性と比べて、配偶者及び交際相手からの暴力の被害経験を有する者が多い傾向にあることがうかがえた。