4-7-2-3図 刑事施設の年末収容人員の推移（女性）
令和6年4月1日現在、女性受刑者の収容施設として指定されている刑事施設（医療刑務所及び拘置所を除く。以下（1）において「女性刑事施設」という。）は、栃木、笠松、和歌山、岩国及び麓の各刑務所、札幌、福島、豊橋及び西条の各刑務支所並びに喜連川社会復帰促進センター、加古川刑務所及び美祢社会復帰促進センターの各女性収容棟である。
4-7-2-3図は、刑事施設における女性被収容者の年末収容人員の推移（最近20年間）を見たものである。女性被収容者の年末収容人員は、平成23年まで増加傾向にあったが、24年からは減少し続けている。令和5年末現在において、女性の収容定員は6,599人（このうち既決の収容定員は4,905人、未決の収容定員は1,694人）であるところ、その収容率（収容人員の収容定員に対する比率）は53.1％（既決60.3％、未決32.1％）であった（CD-ROM資料2-5参照）。
4-7-2-4図は、女性入所受刑者の人員（罪名別）及び女性比の推移（最近20年間）を見たものである。女性入所受刑者の人員は、平成18年（2,333人）まで増加し続け、19年に若干減少した後はおおむね横ばいで推移した後、28年から減少傾向にあり、令和5年は1,486人（前年比68人（4.4％）減）であった。罪名別に見ると、平成24年以降は、窃盗が覚醒剤取締法違反を上回っており、令和5年（823人）は、平成16年（568人）の約1.4倍であった。詐欺は、平成23年以降90人台から130人台で推移しており、令和5年は100人であった。女性比は、平成27年（9.9％）まで上昇し続け、28年から横ばいとなっていたが、令和2年に再び上昇して以降、10％台が続いており、5年は10.6％であった（なお、入所受刑者の女性人口比については、2-4-2-2図参照）。
4-7-2-5図は、女性入所受刑者の年齢層別構成比の推移（最近20年間）を見たものである（入所受刑者の男女別の年齢層別構成比については、2-4-2-4図参照）。30歳未満の若年者層は、平成25年以降は8～11％台で推移し、他の年齢層と比べて構成比が低い。16年から23年までは30歳代が他の全ての年齢層と比べて構成比が最も高かったが、24年以降は40歳代が他の全ての年齢層と比べて構成比が最も高くなり、令和5年は23.3％であった。50歳代は、平成30年以降上昇傾向にあり、令和5年は22.3％であった。60～64歳は、平成16年以降4～7％台で上昇下降を繰り返しているのに対し、65歳以上の高齢者層は、17年以降上昇傾向にあり、令和5年（22.7％）は平成16年（5.4％）の約4.2倍であった（CD-ROM参照）。なお、令和5年における女性高齢者の罪名別構成比を見ると、窃盗が約9割を占めている（4-8-2-3図参照）。
4-7-2-6図は、令和5年における出所受刑者（出所事由が満期釈放等又は仮釈放の者に限る。）の帰住先別構成比を男女別に見たものである。
女性受刑者の処遇に関する取組については、第7編第4章第1節参照。
女子の少年院入院者は、女子のみを収容する少年院（9庁（分院4庁を含む。））又は男女を分隔する施設がある第3種少年院（2庁）のいずれかに収容される。
4-7-2-7図は、女子少年院入院者の人員（非行名別）及び女子比の推移（最近20年間）を見たものである。女子の少年院入院者の人員は、平成18年から減少傾向にあるところ、令和4年から2年連続で増加し、5年は134人（前年比5人（3.9％）増）であった。女子比は、平成18年以降上昇低下を繰り返しており、令和5年は8.2％（同1.5pt低下）であった（男子の少年院入院者の人員については、3-2-4-1図参照）。非行名別に見ると、平成17年までは覚醒剤取締法違反の人員が他の非行名と比べて最も多かったが、その人員は16年以降減少傾向にあり、令和5年（13人）は平成16年（108人）の1割程度であった（少年院入院者の非行名別構成比については、3-2-4-3図参照）。
なお、女子の少年院入院者は、男子と比べ、保護者等からの被虐待経験があるとする者の割合が高い（3-2-4-8図参照）。
女子の少年院入院者の処遇に関しては、平成28年度以降試行されてきた「女子少年院在院者の特性に配慮した処遇プログラム」が、令和4年11月から本格的に運用されている。同プログラムには、<1>女子在院者に共通する処遇ニーズに対応して全在院者を対象として行う「基本プログラム」（<ア>自他を尊重した自己表現を学ぶことで、より良い人間関係を築くことを目的とした「アサーション・トレーニング」及び<イ> 呼吸の観察等を通じて衝動性の低減や自己統制力の向上等を目的とした「マインドフルネス」によって構成）と、<2>特に自己を害する程度の深刻な問題行動を有する在院者を対象として行う「特別プログラム」（性、摂食障害及び自傷行為に関するプログラム）があり、基本プログラムに、個別の処遇の必要性に応じて特別プログラムを組み合わせて実施している。
