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令和6年版 犯罪白書 第2編/第5章/第2節/1

第2節 仮釈放等と生活環境の調整
1 仮釈放等

仮釈放は、「改悛の状」があり、改善更生が期待できる懲役又は禁錮の受刑者を刑期満了前に仮に釈放し、仮釈放の期間(残刑期間)が満了するまで保護観察に付することにより、再犯を防止し、その改善更生と円滑な社会復帰を促進することを目的とするものであり、その審理は地方更生保護委員会が行う。

仮釈放は、懲役又は禁錮の受刑者について、有期刑については刑期の3分の1、無期刑については10年の法定期間を経過した後、許すことができる。仮釈放を許すかどうかについては、<1>悔悟の情及び改善更生の意欲があるかどうか、<2>再び犯罪をするおそれがないかどうか、<3>保護観察に付することが改善更生のために相当であるかどうかを順に判断し、それらの基準を満たした者について、<4>社会の感情が仮釈放を許すことを是認するかどうかを最終的に確認して判断される。

また、地方更生保護委員会は、保護処分の執行のため少年院に収容されている者(収容中の特定保護観察処分少年を除く。)について、処遇の最高段階に達し、仮に退院させることが改善更生のために相当であると認めるとき、その他仮に退院させることが改善更生のために特に必要であると認めるときは、仮退院を許す(仮退院を許された者は、少年院仮退院者として保護観察に付される。)。加えて、特定保護観察処分少年(年齢満18歳以上20歳未満の特定少年に係る少年法64条1項2号の保護処分に付されている者)のうち、第5種少年院(第3編第2章第4節3項(1)参照)に収容されている者について、処遇の最高段階に達し、退院させて再び保護観察を実施することが改善更生のために相当であると認めるとき、その他退院させて再び保護観察を実施することが改善更生のために特に必要であると認めるときは、退院を許す(退院を許された特定保護観察処分少年は、収容により停止されていた保護観察が再開される。)。

地方更生保護委員会において、被害者等から申出があったときは、仮釈放等審理において、その意見等を聴取している(第6編第2章第1節5項参照)。

(1)仮釈放審理等

仮釈放審理を開始した人員(平成28年以降は一部執行猶予者の人員を含む。)は、20年から減少傾向にあり、令和5年は1万1,071人(前年比3.9%減)であった。このうち一部執行猶予者の人員は、714人(同25.0%減)であった(CD-ROM資料2-8参照)。

令和5年に、仮釈放が許可された人員と許可されなかった人員(仮釈放の申出が取り下げられた者を除く。)の合計に占める後者の比率は、4.3%(前年比0.2pt低下)であったところ、このうち一部執行猶予者について見ると0.7%であった(CD-ROM資料2-8参照)。

少年院からの仮退院を許可された人員は、平成15年以降減少傾向にあったが、令和5年は1,369人(前年比3.3%増)であった(CD-ROM資料2-8参照)。

(2)仮釈放者の人員

出所受刑者(仮釈放、一部執行猶予の実刑部分の刑期終了、又は満期釈放により刑事施設を出所した者に限る。)の人員及び仮釈放率の推移(昭和24年以降)は、2-5-2-1図のとおりである。仮釈放率は、平成17年から6年連続で低下していたが、23年に上昇に転じて再び50%を超え、令和5年は63.0%(前年比0.9pt上昇)であった。これを男女別に見ると、男性が61.3%(同0.5pt上昇)、女性が77.5%(同3.5pt上昇)であった(CD-ROM参照)。

2-5-2-1図 出所受刑者人員・仮釈放率の推移
2-5-2-1図 出所受刑者人員・仮釈放率の推移
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(3)刑の執行率

2-5-2-2図は、定期刑受刑者の仮釈放許可人員について、刑の執行率(執行すべき刑期に対する出所までの執行期間の比率)の区分別構成比の推移(平成5年・15年・25年・令和元年~5年)を見るとともに、同年の同人員の刑の執行率を刑期別に見たものである。

2-5-2-2図 定期刑の仮釈放許可人員における刑の執行率の区分別構成比の推移等
2-5-2-2図 定期刑の仮釈放許可人員における刑の執行率の区分別構成比の推移等
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(4)無期刑受刑者の仮釈放

2-5-2-3表は、無期刑の仮釈放許可人員の推移(最近10年間)を刑の執行期間別に見たものである。

2-5-2-3表 無期刑の仮釈放許可人員の推移(刑の執行期間別)
2-5-2-3表 無期刑の仮釈放許可人員の推移(刑の執行期間別)
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