窃盗及び不同意性交等・不同意わいせつを除く刑法犯について、主な罪名・罪種ごとに認知件数の推移(最近30年間)を見ると、1-1-2-7図のとおりである。
認知件数、検挙件数及び検挙率の推移(最近20年間)を罪名別に見ると、1-1-2-8図のとおりである(詳細については、CD-ROM資料1-2及び1-3参照)。
なお、盗品譲受け等、公然わいせつ、わいせつ物頒布等、略取誘拐・人身売買、通貨偽造、文書偽造等及び賭博・富くじの認知件数等についてはCD-ROM参照。
殺人の認知件数は、平成16年から28年までは減少傾向にあり、その後はおおむね横ばいで推移し、令和3年から2年連続で戦後最少を更新したが、5年は増加し、912件(前年比59件(6.9%)増)であった。検挙率は、安定して高い水準(5年は95.6%)にある。
強盗の認知件数は、平成15年に昭和26年以降で最多の7,664件を記録した後、平成16年から減少傾向となり、令和3年には戦後最少を更新したものの、翌年から2年連続で増加し、5年は1,361件(前年比213件(18.6%)増)であった。検挙率は、平成17年から上昇傾向にあり、令和5年は90.5%(同1.8pt低下)と2年連続で低下したものの、依然として高い水準にある。
令和5年における強盗の認知件数の手口別構成比は、1-1-2-9図のとおりである。
傷害の認知件数は、平成15年に3万6,568件を記録した後、16年から減少傾向にあったが、令和4年から2年連続で増加し、5年は2万2,169件(前年比2,655件(13.6%)増)であった。暴行の認知件数は、平成18年以降おおむね高止まりの状況にあり、2万9,000件台から3万2,000件台で推移した後、令和元年から減少傾向にあったが、5年は4年に引き続き増加し、3万196件(同2,347件(8.4%)増)であった。脅迫の認知件数は、平成12年以降2,000件台で推移していたところ、24年に大きく増加し、同年以降は3,000件台で推移していたが、令和4年は昭和43年以来54年ぶりに4,000件を上回り、令和5年は4,535件(同498件(12.3%)増)であった。検挙率は、いずれも、平成16年前後からおおむね上昇傾向にあり、令和5年は前年と比べて低下したものの、傷害は81.0%、暴行は82.4%、脅迫は82.8%と、依然として8割を超えている。
詐欺の認知件数は、平成17年に昭和35年以降で最多の8万5,596件を記録した後、平成18年から減少に転じ、24年からは増加傾向を示していた。その後、30年から再び減少していたが、令和3年から増加しており、5年は4万6,011件(前年比8,083件(21.3%)増)であった。検挙率は、平成16年に32.1%と戦後最低を記録した後、17年から上昇に転じ、23年から26年までの低下を経て、その後は上昇傾向にあったが、令和3年から低下しており、5年は36.2%(同6.2pt低下)であった。
特殊詐欺(被害者に電話をかけるなどして対面することなく信頼させ、指定した預貯金口座への振込みその他の方法により、不特定多数の者から現金等をだまし取る犯罪の総称。現金等を脅し取る恐喝及びキャッシュカード詐欺盗(警察官や銀行協会、大手百貨店等の職員を装って被害者に電話をかけ、「キャッシュカードが不正に利用されている」等の名目により、キャッシュカード等を準備させた上で、隙を見るなどし、同キャッシュカード等を窃取するもの)を含む。)の認知件数、検挙件数及び被害総額(現金被害額及び詐取又は窃取されたキャッシュカード等を使用してATMから引き出された額(以下「ATM引出し額」という。)の総額をいう。ただし、ATM引出し額については、平成21年以前は被害総額に含まれず、22年から24年までは、オレオレ詐欺に係るもののみを計上している。)の推移(統計の存在する平成16年以降)は、1-1-2-10図のとおりである(検挙人員及び検挙率については、CD-ROM参照)。主要な手口別で見ると、令和5年においては、架空料金請求詐欺(未払いの料金があるなど架空の事実を口実とし、金銭等をだまし取る(脅し取る)もの)の認知件数が5,198件(前年比77.9%増)と最も多く、特殊詐欺の認知件数に占める割合は27.3%(同10.7pt増)、被害額は約140億円(同37.9%増)となっており、前年と比べていずれも増加している(警察庁刑事局の資料による。)。
恐喝の認知件数は、平成13年に1万9,566件を記録した後、14年から減少し続けていたが、令和4年から2年連続で増加し、5年は1,567件(前年比277件(21.5%)増)であった。
横領(遺失物等横領を含む。)の認知件数は、平成16年に戦後最多の10万4,412件を記録した後、17年から減少し続けていたが、令和4年から2年連続で増加し、5年は1万5,795件(前年比2,028件(14.7%)増)であった。
放火の認知件数は、平成16年に2,174件を記録した後、17年から減少傾向にあり、令和5年は766件(前年比15件(1.9%)減)であった。
公務執行妨害の認知件数は、平成18年に戦後最多の3,576件を記録した後、19年から減少傾向にあったが、令和4年から2年連続で増加し、5年は2,217件(前年比41件(1.9%)増)であった。
住居侵入の認知件数は、平成15年に戦後最多の4万348件を記録した後、16年から減少傾向にあったが、令和5年は前年と比べて増加し、1万627件(前年比1,113件(11.7%)増)であった。
器物損壊の認知件数は、平成15年に23万743件を記録した後、16年から減少し続けていたが、令和5年は前年と比べて増加し、5万6,957件(前年比2,207件(4.0%)増)であった。検挙率は、平成16年から上昇傾向にあり、令和5年は14.7%(同0.3pt上昇)であったが、依然、刑法犯全体と比べて著しく低い。