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令和5年版 犯罪白書 第7編/第6章/第2節/1

第2節 少年法制の変遷と昨今の少年非行の動向等
1 少年法制の変遷

現行の少年法制は、第二次世界大戦後の昭和20年代に従来の諸法制が抜本的に改革されたことによって成立した。少年法は、平成期に入り少年による凶悪重大事件が相次いで発生するなどして法改正の気運が高まったことを受け、平成12年に約半世紀ぶりの大規模な改正に至った。この改正は、<1>少年事件の処分等の在り方の見直し、<2>少年審判の事実認定手続の適正化、<3>被害者等への配慮の充実の三点を柱としたものであるところ、その後も、少年審判手続のより一層の適正化を図るためなどの理由から同法の改正が繰り返されている。令和期においては、少年法等の一部を改正する法律(令和3年法律第47号。以下この章において「改正法」という。)により、18・19歳の者は「特定少年」として、17歳以下の少年とは異なる特例が定められるなどした。これは、選挙権年齢や成年年齢が20歳から18歳に引き下げられ、18・19歳の者が社会において責任ある主体として積極的な役割を果たすことが期待される立場になった一方で、成長途上にあり可塑性を有する存在であることに鑑み、所要の規定を整備したものである。すなわち、成年年齢の引下げ等、社会情勢等の変化により、18・19歳の者の取扱いに変化が生じたものの、少年の健全な育成を目的とする少年法においては、改めて、少年としての可塑性を重視する認識が示されたものと見ることもできよう。今後も、社会情勢等の変化との関連から、少年法制が変遷していくことが想定される。

また、保護処分に関しては、昭和20年代前半に児童福祉法、旧少年院法及び犯罪者予防更生法が、それぞれ施行された。その後、平成19年には、犯罪者予防更生法と執行猶予者保護観察法の内容を整理統合し、新たな一つの法律として更生保護法が成立した。26年には、少年院法及び少年鑑別所法が成立し、これまで旧少年院法の一部において規定されていた少年鑑別所については、新たに独立した法律において規定されることとなった。非行少年の処遇は、少年法のほか、これら関係法令等の下、少年鑑別所、少年院、保護観察等、刑事司法の各段階において、それぞれ充実が図られている(第3編第2章参照)。